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「アヒルと鴨のコインロッカー」は伊坂幸太郎の同名小説を映画化したもので、2007年6月23日に公開されました。
濱田岳と瑛太のダブル主演で、監督・脚本を中村義洋が務めた作品です。
今回は「アヒルと鴨のコインロッカー」から劇中で描かれなかったドルジの最後、ドルジが椎名に声をかけた理由、神様を閉じ込めた真意を徹底考察していきます!
ドルジの最後
冒頭のシーンで犬を助けたドルジ、そしてラストシーンでも車道に飛び出た犬を救わんと駆け出します。
伊坂幸太郎の作品は見事な伏線回収が醍醐味ともいえるので、このラストシーンにも強い想いがある事は間違いありません。
車道に飛び出した犬を守る為、自らも車道に飛び出たドルジですが、ドルジの最後とは一体どうなったのか?
そこを考察していきます。
ドルジは死んでいない
琴美や河崎の死を経験し、姿かたちも河崎に似せる事でドルジは本来の自分からかけ離れた様子になっていきました。
信仰深かかったドルジですが、段々とその面影をなくし、煙草やお酒を嗜むようになっていくのです。
そんなドルジがラストシーンで犬を思わず反射的に助けたのは、ドルジ本来の姿といえます。
椎名達と触れ合っていく中で、ドルジは段々と偽りの姿から、心優しい元の青年へと戻ったのでした。
琴美や河崎の死がきっかけで神への信仰心も失っていたドルジ。
しかし最後に犬を助けるシーンが描かれた事で、彼自身が信仰心を取り戻し、河崎に似せた自分ではなく、ドルジという一人の人間に戻ったのです。
ラストで、椎名が牛タン弁当を食べかけのまま呑気に眠るシーンで終わるのは、ドルジは無事だよという事を案に示しています。
犬を助けて、琴美と河崎の死を乗り越え街を颯爽と歩いていく、ドルジの後姿が想像できるような印象的なシーンとなっているのです。
琴美が亡くなったときの犬と似ている
動物虐待をしていた犯人の車に轢かれ命を奪われた琴美。
犯人の乗った車が事故を起こし、犬は逃げ出しますが、ここで気になる一つのポイントがあります。
その時に逃げ出した犬と、ラストでドルジが助けようとした犬はそっくりなのです。
琴美の存在を守れなかったドルジにとって、その犬を助ける事は琴美を助けるのと同等の意味がありました。
ドルジが河崎という偽りの姿を捨て、再びドルジとして生きていくため、神から与えられたチャンスだったのです。
助けられなかった琴美の命と代わりに犬を助けた事で、ドルジは大切な恋人の死を乗り越えこれからも力強く生きていくのでしょう。
なぜドルジは椎名に声をかけた?
隣に引っ越してきた椎名の歌声を聞いて咄嗟に椎名に声をかけたドルジ。
なぜドルジは椎名に声をかけたのでしょうか?
その疑問を考察していきます。
自分の思い出が詰まった曲だから
椎名が口ずさんでいたボブ・ディランの「風に吹かれて」はドルジと琴美、そして河崎にとって思い出の詰まった曲です。
玄関を飛び出したドルジの行動は、咄嗟的なものでした。