これは椎名なりのドルジへの精一杯の気遣いであって、賛同であったのです。
そして神様を閉じ込める形で、琴美と河崎にも許しを乞いました。
椎名の言葉・行動で自分の犯した罪や思い、琴美や河崎の無念さ、そういったものが全て許され救われたとドルジは感じたのです。
昔のドルジにそっくりな椎名。
そんな二人なので縁あってまたどこかで出会えることでしょう。
椎名とドルジの出会いは偶然ではなく必然だったのです。
タイトルに込められた意味
「アヒルと鴨のコインロッカー」この不思議なタイトルですが、これにはこのような意味合いが含まれています。
アヒルは外来種=ドルジの事、鴨は日本固有の鳥なので=椎名の事です。
そして鴨は琴美の事でもあり、河崎の事でもあります。また、アヒルと鴨はブータンと日本を指しているといってもいいでしょう。
椎名とドルジがコインロッカーに神様を閉じ込めたので、「アヒルと鴨のコインロッカー」という意味になります。
これはもう最後のシーンで全てが描かれていますが、この意味がわかった時観客の全ての人の心を鷲掴みにするのです。
それがこの映画の良さで、伊坂幸太郎マジックと呼べます。
伏線や仕掛けがお見事!の映画
数々の難解な伏線や仕掛けが組まれている「アヒルと鴨のコインロッカー」ですが、どういうところが人々の心を引き付けてやまないのでしょうか?
その魅力に迫っていきます。
映像化不可能を覆した映画
「アヒルと鴨のコインロッカー」は小説の内容の複雑さから、“映像化不可能”といわれていました。
河崎の死の原因が異なる、原作に出てくる登場人物や出来事が切り取られているなど、原作と多々違うところもあります。
そこは監督・脚本を担当した中村義洋監督の手腕が光る映画となっているのです。
映画に出演された濱田岳さんを始め、“台本を読んでも最初は意味がわからないまま演じていた”と、演じる俳優さんにも言わしめたこの映画。
難解で複雑ですが、“ドルジが河崎のふりをしていた”その一言の要素だけでこんなにも魅力のある映画になるのはとてもすごい事です。
大どんでん返し、とはまさにこの事であり、映像で観れば一発でわかってしまうこの要素を如何にどう引っ張るか、という部分が脱帽の映画といえます。
白黒の映像表現が意味するもの
この映画は椎名の想像であるシーンでは白黒の映像、そしてそれ以外のシーンでは普通のカラーの映像が使われています。
そして、椎名が全ての真実に辿り着いた時、白黒の映像もカラーへと様変わりするのです。
こういった表現方法や、伏線の回収や仕掛けが素晴らしく上手い映画なので、鑑賞後、「すごい!」という言葉が思わず洩れてしまう映画となっています。
まとめ
豪華キャストが勢ぞろいの「アヒルと鴨のコインロッカー」。
実はこの映画、今は大人気俳優となったあの美形俳優さんも出演していると知っていますか?
濱田岳さんの大学仲間としてあの、岡田将生さんが初・映画デビュー!として出演されています。
そういうところに注目して観直してみるのもいいでしょう。