両親の離婚でトラウマとなっていることから、2人は深く愛し合い強い絆で結ばれている必要があったのでしょう。
第①の人生でのアンナ:絆度数1
2人の子供を連れたアンナと再会しますが、その場はすぐ分かれてしまいます。経緯は不明ですがこのあとニモは子連れのアンナと結婚をします。
再会シーンでのニモはベッコウの縁メガネをかけています。冒頭のアンナとの結婚式シーンでも同じメガネをしているからです。
しかし、アンナとの強い絆はここではあまり強く感じません。
第③の人生でのアンナ:絆度数3
ニモは宇宙科学番組で解説する仕事をしていました。ニモとアンナは普通に結婚し子供をもうけ幸せな家庭を築きました。
しかし、番組の収録後の帰宅途中で不慮の事故から自動車ごと湖に水没しますが、夢として知らない場所で目が覚めます。
この人生でもアンナとの強い絆は強いものとはいえません。
第④の人生でのアンナ:絆度数5
ニモはいつかアンナに会える奇跡を信じながら毎日同じ駅を使い、プールの清掃員として働いていました。バタフライ効果が2回あります。
1度目は駅の浮浪者が死亡していたことで、その場にいる時間が長くなりアンナとの再会を果たしました。
2度目はアンナの連絡先電話番号を手に入れますが、メモに雨粒がおちて文字がにじみ手掛かりを失い会えないまま時が過ぎ浮浪者になります。
それでも約束の灯台の場所に行き続け再度アンナとの再会を果たします。これはニモの願望が見させた幻なのでしょうか?
誰とも結婚しない第⑪の人生
15歳の時にバイクの事故で瀕死状態から意識を戻すシーンより「生還」をし、その後のニモは結婚はせずに車椅子生活になったと考えられます。
幼少の時に両親が離婚し父親を介護し、エリースに失恋したことや事故を起こした経験はニモに精神的なダメージを与えたでしょう。
その辛い記憶を小説にすることで現実逃避し、34歳の時に精神を病み施設に入ったと仮説がたてられます。
そしてその後の記憶がないまま118歳を迎えたのではないか?という第⑪の人生です。
両親のどちらも選ばない第⑫の人生
知らない場所で目覚めたニモが迷い込んだパラレルワールドには、ニモとアンナの存在がなくなっていました。
そんなニモがアンナの電話番号を頼りに訪ねた家では、未来の自分からのメッセージがありました。
『宇宙大縮小論(ビッククランチ)』が本当なら、キミは2092年の誕生日まで生きる必要がある。
引用:ミスター・ノーバディ/配給:パト
そもそもニモもアンナもいない人生があるのなら、ビックランチが証明される2092年の誕生日まで生きて人生をやり直せるということです。
ニモは予知通り118歳で息を引き取りますがそこで時間が逆行しはじめます。
9歳のニモは両親のどちらも選ばず森に走り、落ち葉が引き起こした「バタフライ効果」を起こしにいくことでした。
9歳のニモは池のウェイクボードで石投げをするアンナをみつけ、隣りに座り一緒に石投げをするところから第⑫の人生を始めたのです。
「何者でもない」12通りの人生
ニモとは「何者でもない」という意味なので、この映画の12通りの人生は誰にでも起こりうる人生の1つであるという意味なのでしょう。
人の一生が決められたものであるとしたら、それをより良い人生に転換していけるのは人であり自分次第だということを諭した映画です。
残念ながら現状は時間は戻すことができません。しかし「あの時あの選択をしていたら…」と思った時にできることもあります。
逆転の発想や方向転換する能力です。その思考を養えるのも人の能力だと教えてくれた作品ではないでしょうか?