出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B00FIWMXL4/?tag=cinema-notes-22
『フラガール』は事実をベースにしたエンターテイメント作品で、数々の賞を受賞し興行的にも大成功を収めました。
時代の波に変化を迫られた町の模様、炭鉱の町に住む人々の心の葛藤は今の時代にも共感できる普遍的な内容です。
バスで紀美子が飲み込んだ言葉はいったいどんなものだったのでしょうか。
そして印象に残るシーンとなった駅でのハンドモーション、気の強い先生が流した涙の意味を徹底考察していきます。
今や福島を代表するレジャー施設となったハワイアンズですが、映画を詳しく紐解くことで立ち上げた人々の想いに触れていきましょう。
紀美子が飲み込んだ言葉の意味
巡業のバスの中で蒼井優演じる紀美子は自分の気持ちを飲み込んでいますが、そこにはどんな思いがあったのでしょう。
まどか先生は言葉にしなくてもわかっている
紀美子は早苗が旅立つとき、素直に皆の輪の中に入っておらず、まどか先生も素直に見送りの輪には入っていませんでした。
二人は気が強く、どこか共通するものが観えます。
女強いな
引用:フラガール/配給:シネカノン
兄、洋二朗のセリフですが、このセリフも彼女たちが似ているということを示しています。
だからこそ、紀美子は言葉にしなくても先生ならわかっているはずだと思ったのでしょう。
感謝の気持ちを口にするのが恥ずかしかった
これまでまどか先生に反発してきた紀美子、徐々に心を寄せていきますが面と向かって「感謝」を口にするのは恥ずかしかったのかもしれません。
先生、なんでもねぇ
引用:フラガール/配給:シネカノン
このセリフの後先生はふっと笑いますが、紀美子が恥ずかしがって言えなかった言葉を感じたとも取れるシーンです。
先生を大好きという思い
紀美子は自由になる為に家を飛び出しました。
炭鉱という場所に縛られなかったことで、彼女は幸せを掴んでいます。
紀美子の夢が叶ったのは先生のおかげであり、母とは違った「師弟愛」を感じていたのでしょう。
しかしこの気持ちを言葉にするのは、10代の女子にとって難しくそして恥ずかしいことだったのかもしれません。
駅でのハンドモーションが示すもの
責任を全て被って常磐を去るまどか先生にハンドモーションを送る紀美子ですが、このハンドモーションが示すものは一体何でしょう。
バスの中で伝えられなかった想い
先生と離れたくない、私にはまだ言い残したことがある、彼女はそう思ったことでしょう。
巡業中の皆が寝静まったバスでまどか先生に言えなかった、飲み込んだ言葉を伝えたい……。
紀美子はいつか告げようとしていた言葉をハンドモーションに託したのでしょう。
伝えた言葉は、最初に先生に教えてもらった「涙をぬぐって、愛しています、愛しい人よ」でした。
感謝や愛が沢山詰まったハンドモーションなのです。
自分を救った先生を救いたい
いくとこないんだよ、どこにも…
めんこいのに追い出されるのよ、どこでも。
引用:フラガール/配給:シネカノン
バスの中でまどか先生がいった言葉です。
先生の心が泣いているのを感じた紀美子は、先生にエールを送ったのです。