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スパイク・ジョーンズはミュージックビデオ監督として才能を発揮した、評価の高い監督です。
そんな彼の長編監督作品1作めがこの「マルコヴィッチの穴」になります。
現代のおとぎ話ともいえるメッセージを含み、いろいろな問いかけをしてくれる作品です。
このメッセージをどう受け取るかによって、本作の評価は大きく変わりるのではないでしょうか。
この不思議な世界で構成された、魅力的な映画を考察していきます。
マルコヴィッチになる真意を徹底考察
俳優ジョン・マルコヴィッチが、他人になりたいという願望を叶える器となる世界設定からドラマを産む本作。
登場人物がマルコヴィッチになることについて、考察していきます。
マルコヴィッチ体験の価値
マルコヴィッチになりたい人は、自分に自信を持っていない、もしくは不満をいだいている人です。
マルコヴィッチになることで、自分から開放されるのがたまらないのでしょう。
1回200ドルと結構な値段でありながら、長蛇の列ができる人気商売になります。
その魅力を例えるなら、VR体験の何十倍もの没入感があるのではと解釈できるのです。
マルコヴィッチとセクシャリティ
マルコヴィッチ体験はセクシャルな刺激を受けるようで、それも人気の一つです。
実は性同一性障害を持っていたロッテは、マルコヴィッチを経験することによって自分が愛するのはマキシンと確信します。
マルコヴィッチを介してマキシンと交際するようになり、中毒的にその楽しさに魅了されてしまうのです。
マキシンはロッテでもクレイグでも、マルコヴィッチを介すれば相手をする魔性の女でした。
ですがロッテと関係を持つことで存在を信じていなかった「愛」に目覚め、最後は母親として幸せに暮らします。
人形師クレイグの特異性
主人公クレイグは、マキシンと関係を持つべくマルコヴィッチに入り、ふとした瞬間に操る方法を見つけます。
これは人形師でありつつ、自分という存在が嫌いなクレイグだからこそできた事なのです。
クレイグは他人や人形を操っているときだけは嫌な自分を忘れて夢中になります。
自分を愛せない本質こそが、彼が成功し得ない結果につながるのです。
体験しないマキシンの特徴
前述したように、変身願望を持つ人は自分にコンプレックスを持っています。
今の自分ではいたくないからマルコヴィッチ体験を喜び、繰り返すのです。
本作の中で唯一変身願望を持たないマキシンは、自信に満ち溢れており、活力を持つ女性です。
現実逃避している暇があったら野心を叶えるために前進するバイタリティを持っています。
マキシンは自分自身に満足しているので、マルコビッチ体験を聞いても興味をそそられないのです。