このエンディングが意味することを考察し、お伝えしていきます。
なぜマクマーフィーを殺したか
マクマーフィーは誰よりも自由を求め、体制に縛られてきた仲間の精神を開放してきました。
そのマクマーフィーが反抗するどころか喋ることすらもままならない姿にされたのです。
ネイティヴアメリカンであるチーフの死生観では、生きたまま心が縛り付けられている状態といえます。
一緒にここを出ようといい、枕を顔に押し付けて窒息死させるのです。
それによってマクマーフィーの魂は解放され、自由になりました。
カッコーの巣の上での意味
カッコー(Cuckoo)は英語で「頭のおかしい人」を指します。
つまりカッコーの巣は「精神病院」の隠語となるのです。
もともとはマザー・グースの詩の引用になっています。
「カッコーの巣の上へ飛び立つ」ということは精神病棟を後にし、チーフが離れていくことを指しているのです。
体制に従わず自由に生きるということ
マクマーフィーは体制に挑み、自由に生きることを他の患者に伝えました。
このように体制に反して死を迎えるものの教えを残し、残されたものが伝導していくという宗教的な見方もできます。
自由に対して束縛する存在がいて、それを批判するというのは本作で大きなテーマになっているのです。
ただのアンチ・ヒーロー、アンチ・ハッピーエンドではないということが解ります。
カウンターカルチャーについて
本作の原作となる小説と、それを執筆した作家の背景を知ることでより本作を楽しめるのです。
そのためにここでは60年代文化などについて触れていきます。
原作小説のバックボーン
原作者であるケン・キージーは作家であると同時に、メリー・プランクターズという集団のリーダーでもありました。
LSDを全米にばらまいて音楽と照明で覚醒させるサイケデリックなツアーを展開し、ヒッピーとしてその名を轟かせたのです。
反戦、反権力、フリーセックスと言った風潮はマクマーフィーの思想に当てはまります。
またマクマーフィーの女友達たちも、同様の思想を持っているのです。
なぜビリーと女友達は寝たのか
マクマーフィーが女友達に、ビリーと関係を持つように頼み、女友達が引き受けるシーンがあります。
現代倫理的に照らし合わせるとありえなく感じますが、ヒッピーの思想に照らし合わせると合点がいくのです。
彼らはフリーセックスを標榜し、自由なセックスを謳歌する人種でした。
こういう時代背景を理解していないと、本作を正しく理解できないかもしれません。
まとめ
管理社会を精神病院という場所に写し、縛られたルールを破るマクマーフィーの対比により、体制への反抗を描いた本作。
感情を押し込められていた患者たちが次第に生き生きとしていく様に活力を貰った人も多いでしょう。
マクマーフィーの魂とともに自由になったチーフが羽ばたいていくさまも感動を生みます。