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2013年の話題作『子宮に沈める』は、現在の日本社会の闇にフォーカスを当てた映画として大きな反響を呼びました。
何でも手に入る現代社会の一方で、目を覆いたくなるような現実があることを私たちは忘れてはいけません。
母親である由希子が最終的に下した決断は、日本社会の闇とどんな関係があるのでしょうか?
ストーリーが進むにつれ色濃く表現されていく彼女の心情とともに、奇抜なタイトルに込められた意味も考えていきましょう。
日本の闇「ネグレクト」
ネグレクトとは育児放棄のことです。
この映画でのテーマであり、現在に日本で大きな問題となっているものです。
ネグレクトはもはや個人の問題だけではないのかもしれません。
幼児虐待はもはや特別なものではなく、子育て世帯が抱える悩みの一つといえるでしょう。
産婦人科ではお腹の大きな女性の写真を見せられます。
「この女性はなぜお腹が大きいのでしょう」その問いかけに「太っているから」と答えてしまう妊婦さんもいるとか…。
この後、彼女は自分の子供を愛せないことで悩むことになるのです。
現実でも多発している育児放棄ですが、なぜネグレクトは起きてしまうのでしょうか。
孤立していく育児
日本においてシングルマザーとして生活している家庭は年々増加傾向にあります。
さまざまな理由から、誰からの支援もなく生活している家庭は多くあるのが実情です。
そのため、どんどん孤立してしまい誰かに助けを求めることすらできなくなってしまう人は増えていく一方…。
孤立してしまった育児は、その悩みも孤立してしまい自分ではどうすることもできなくなってしまうのです。
これが育児放棄にまで発展していく大きな要因です。
どこかで誰かが手を差し伸べられれば、育児放棄は防げることなのかもしれません。
シングルマザーの社会での自立の難しさ
シングルマザーの自立の難しさも大きな問題となっています。
シングルマザーになる女性の中には、出産を機に退職し専業主婦やパートタイマーをしていた人も多くいるでしょう。
シングルマザーとなってから仕事を探す場合、正規雇用に就くのは難しい場合も多くあります。
また子供がいるため遅くまで働けない、子供の体調不良で仕事に出られない、早く帰らないといけないことも多いのです。
生活が困窮していくことは容易に想像できます。
当然のことながら、多くの収入が得られる夜の仕事に流れる人も多いでしょう。
まさにこの状況に陥ってしまったのが本作の母親である由希子なのです。
仕事と育児の両立の難しさ
仕事と育児の両立はとても難しいことです。
まだまだ日本の社会では、一人で仕事と育児の両方を完璧にこなしていくことは難しい現実があるのです。