大貫に出会い毎日誕生日を祝ってもらって絵本を読んでもらうことを楽しみにしていたのでしょう。
パコが一瞬目を覚ました時に見た光景は劇のキャラクターたちでした。
その劇の中にいたまま眠りについたのでしょう。大貫が倒れた時にガマ王子は池の中に落ちていました。
パコが目を閉じた時にガマ王子が迎えに来ます。パコはガマ王子として大貫を見ていたのではないでしょうか。
読んであげる人もいなくなった
無菌状態になっていてパコの頬に触れることができないから自分の事を忘れられてしまうことが怖かった大貫です。
いつもパコの心の中にいたかったし自分の事を覚えていてほしかったのにもうそれを確かめることができません。
なぜ自分が死んでいないのにパコが死ななくてはならないのか。
看護師のタマ子が絵本を大貫に手渡すが悔しくて寂しくてとっさに絵本を破いてしまうのです。
絵本を読んでも、もう聞いてくれる人がいなくなったから。
それと同時にいつまでも絵本の中にいないで愛する家族のもとに行って幸せになりなさいという気持ちもあったのではないでしょうか。
パコはガマ王子と一緒にいる
破くことで自分も絵本の世界から出たかったのでしょう。
水槽の水草に黄色い花が咲きました。きっとガマ王子がパコと一緒になって咲かせたのです。
もしかしたらガマ王子と一緒にいるよというサインなのではないでしょうか。
パコのためにと必死になるうちに
入院患者の中にパコの絵本の作家がいたことはみんなわかっていたのでしょうか。
パコのために命をかけた
大貫はパコの心に残りたいと一生懸命でしたが命は繋ぐことができませんでした。
自分は先が短いから命がある間にパコに何かしたいと思っていたのです。
まさかパコが先に行くとは思ってもいなかったから。
絵本を必死で読んだり台本を作ってみんなに頭を下げて作った劇はとても心温まる素晴らしいお話になっていました。
それがわかっていたので堀米も他の人たちも劇に加わったのです。
パコの記憶に残るために必死だったからこそ最後はみんなの頭に残ったのでしょう。
悔しいけれど素晴らしかった
老人になった堀米でしたが入院中にされたことは許すことができないようでした。
最初は自分のことなど知ってほしくないと腹を立てていた大貫を嫌っていました。
人のことを見下すクソじじいだったはずなのに自分が書いた絵本よりも大貫の作った劇が輝がやいていたのが悔しかったのでしょうか。
大貫の最後の人生が素晴らしいものになったから。
絵本は全く売れなかったけれど彼によって価値のある物語になったことはうれしいことでした。
そして自分もその場にいられたことがうれしかったのではないでしょうか。
何年たっても忘れることのない記憶です。
自分も年を取ったのでガマ王子をもとの場合に戻しに来たのでしょう。