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発熱した時の悪夢のような、しかしカラフルで魅惑的なおとぎ話のような壮大なストーリー。
そんな私たちの常識からかけ離れた、不可解な世界「シマー」に立ち向かう女性を描いたSF映画『アナイアレイション -全滅領域-』をご紹介します。
この映画は、一見単なるSF映画として描かれていますが、テーマは哲学的であり、批評家から絶賛を受けました。
そしてこの映画には、印象的なシンボルや象徴的な意味がふんだんに使われています。
ここでは、映画全体で何度も現れる8のカタチの入墨と、映画後半で登場するエイリアンとは何なのかを考察していきます。
そして、この映画の深遠かつ壮大な真の目的に迫っていきたいと思います。
ウロボロスの入れ墨
世界共通のモチーフ
まずこの入墨のモチーフの象徴的意味を知っておきましょう。
これはウロボロスといわれているもので、錬金術やキリスト教グノーシス主義、北欧や南米まで、世界のあらゆる文化で象徴的に使われているモチーフです。
主な意味はこうです。
永遠、永劫
自らの尾をくわえ終わりなく見えるところから、始まりも終わりもない永遠性を象徴しています。
死から再生、輪廻などと結びつけられて考えられているのです。
相対する性質を同時に持つ
また概念を端的に表現している言葉として「一は全、全は一」というものがあります。
生と死、光と闇や陰と陽など、相反しているものの一致という意味があります。
この映画にはさまざまなウロボロス的象徴があふれているのです。
さらに物語すべてが、ウロボロス的に成立しているといっても過言ではありません。
そう思える理由はこの後の解説で明らかにしてきます。
映画におけるウロボロスの意味
増殖する運命
映画の中のウロボロスは、蛇の胴体が一度交差している8の字形です。
ですからここでは、さらに無限大という意味が加わっているといえます。
始まりと終わりのないものであると同時に、それが無限に広がっていくということを意味しているのです。
細胞の象徴として
そして映画においては、2つの細胞を表しているともいえるのではないでしょうか。
これはまさにレナの研究対象でもあります。
この2つの円は今まさに結合をしようとしている細胞にも見えますが、逆にたった今分裂したばかりの細胞にも見えるのです。
シマーの中で無限に繰り返されるのは、このような突然変異的に起こった細胞同士の結合と分裂です。
つまりこの入墨のモチーフは、分裂と結合という方法を繰り返しながら永遠に増殖するということ意味しています。
「シマーという世界の本質」を、私たちに視覚的に説明するものとなっているのです。
これはウロボロス的物語
レナの入墨はいつから?
レナにできた入墨は誰からのものなのでしょうか。
この入墨に関係していると確認できる人物は3人です。
彼女が組織を採取した際に何らかの遺伝子的接触が行われ、男の要素である入墨が彼女の体内に転写されてしまった可能性は十分あります。
しかしこの入墨を持っている人物がもう1人いますね。それは同僚のアニャです。