美しい写真なのに
引用:LIFE!/配給会社:20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
その様子に申し訳なくなったウォルターが、自分には写真を見る資格が無いと判断したとしてもおかしくありません。
または、写真を管理する立場の自分が、知らなかったとはいえ写真を捨ててしまったということも理由の一つと考えられます。
ヒントは「ユキヒョウ」
先ほどの、ウォルター自身がネガを見ることを遠慮した。というのはネガティブに感じる説です。
ですがもう一つ、ポジティブでスタイリッシュな理由が考えられます。
その説を考える根拠となるのが「ユキヒョウ」です。
ショーンを探し求めたウォルターがついにヒマラヤの奥地で彼を見つけたシーン。
ウォルターを自分の横に座らせたショーンは、自身がユキヒョウを狙っていることやユキヒョウの特徴について話しています。
そのとき、ショーンはユキヒョウがめったに姿を現さないことから「幽霊ネコ」と呼ばれていると話しています。
そして、写真には何が写っていたのか聞くウォルターに次のようにだけ答えました。
あの写真は幽霊ネコだな
引用:LIFE!/配給会社:20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
ウォルターはショーンの言った「幽霊ネコ」という言葉が気に入り、尊重したくなったのではないでしょうか。
だから、自分は写真を見ることはせず、写真を「幽霊ネコ」のままでいさせようとしたと考えられます。
実際に、ネガを見つけた直後のウォルターは微笑んでいるような、なにかを思いついたような表情をしています。
もし、ウォルターが自分に写真を見る資格が無いと考えていたなら、もっと悲壮な表情を浮かべていたでしょう。
なので、彼がネガを見なかった理由は、「ユキヒョウ」が大きな理由だといえます。
なぜウォルターは表紙を飾ることができたのか
映画を最後まで見た方はご存知でしょうが、ショーンが撮影した25番のネガにはウォルター自身が写っていました。
しかし、ここでまた一つ疑問が出てきます。
普通の流れなら、ショーンが指定したこの写真をLIFEの表紙に使うのは当たり前です。ですがここにも謎があるのです。
ウォルターとテッドは仲が悪い
ウォルターと上司のテッドとの仲は険悪そのもの。しかも写真が見つかった時点で表紙の印刷まで2日という状況でした。
あの意地悪で最低な上司であるテッドは、なぜ素直に嫌いなウォルターが写っている写真を採用したのでしょうか。
この物語の本質とは
この「LIFE!」という映画はなにを観客に伝えたかったのでしょうか。実は、それを知ることがこの謎を解くカギになっているのです。
物語の核は二人の男の変化にあった
この映画で描かれているのはウォルターの成長と変化です。しかし、もう一人物語の中で変化した男がいます。それが上司のテッドです。
仕事がわかってない男、テッド
ラストの二人の変化をはっきりさせるために、序盤のテッドととウォルターの姿を確認しておきましょう。
まず、テッドは登場時点から嫌味で周囲の気持ちを考えない人物として描かれています。
しかも、態度が大きいわりに予想外のことには一切対応できず、写真に関する専門用語も知らないし、知ろうともしません。