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シネラマの代表的作品とも言われ、第36回アカデミー賞では脚本賞・音響賞・編集賞を受賞しその他でも多くノミネートを果たしました。
西部劇映画の集大成的存在でもあり、俳優人・監督・作曲家のどれをとっても一流の方が起用されています。
なぜ人々が西部を欲したのか、その心の内はどういったものだったのかを徹底解説していきます。
50年間に渡る一族の物語
自分の心のままに生きた結果
未開の地である西部に憧れを抱いて、第1話ではプレスコット家は家族総出で西部を目指します。
今までの東部で暮らしてきた環境も畑も全て置いて家族だけで向かうのです。
1890年代という現在よりも約130年前には何か行動を起こす時に浮かぶ不安などはなかったのでしょうか。
本能のまま行動し、それを受け入れ共に移動する家族の姿も現代ではあまり見かける光景ではありません。
自分達で作ったいかだで移動し、テントを張り眠る生活を繰り返していました。
犠牲が出てきて死者も出てきても元々いた東部に引き戻すこともしないのです。
プレスコット家の父と母は西部直前で、急流に飲み込まれ命を落としてしまいました。
両親の意思を引き継ぎ、娘のイヴがライナスと共に西部に住み開拓を広げていくのでした。
自分の心に正直に行動した結果が西部の開拓に繋がっただけだったのかもしれません。
全5話から成る家族のドラマ
『西部開拓史』というタイトルですが、1839年から1889年の50年間における物語は開拓だけではありません。
第1話に登場するプレスコット家を軸に三世代に渡って第5話までのストーリーを形成しているのです。
命を落とす者もいれば、生き延びる者もいました。
しかし、生き延びても後の話へ進めばあっさり亡くなってしまったりと当時の命の儚さや尊さも感じられます。
農家の一族が命を懸けてアメリカ西部を開拓し新しく歴史を作り上げたのです。
テンポよく進む5つのストーリーの中には、家族愛や恋愛・結婚という人間の温かさを感じさせる要素も多く含まれています。
単なる西部開拓の歴史の話ではなく家族のドラマがあるからこそ、観る人を魅了する作品へとなったのでしょう。
人々が求めた理想とは一体何か?
土地そのものを求めたり、溝の中に金を見つけたゴールドラッシュ時はお金だったりと分かりやすいものが多くありました。
しかし人々が求めていたものは、現状を変える価値だったのではないでしょうか。
娯楽が増えたことも、夢を追いかけることも、領土を奪うこともすべて自分自身がさらに満足できる生活を送るためのものです。
その欲望が強いために戦争が起きたりとあらゆることがあり命を落とすことも多く、自身の首をしめることもありました。
根本の部分はみな同じことを考え、現状に満足しているインディアンが差別されたりしたのでしょう。