支配関係依存症のような対人依存は、幼少期のトラウマによるものが多いといわれます。
アニーは、幼少期に親から虐待を受けていてトラウマに陥っているのではないでしょうか。
愛についての異常な執着をみると、父親からの性的虐待も考えられます。
薬物依存症と発達障害
支配関係依存に加え、強い薬物依存もあったようです。
ポールを薬漬けにして離れられないようにしようとした赤いカプセルの薬も、自分が服用していた中毒性ドラッグなのでしょう。
アニーが突然怒り出す場面では、発達障害の症状も伺えます。
普段はおとなしくしているのに、突然怒り出したり、暴れて狂気的な行動に出るのは、発達障害の子供によくある症状です。
彼女の子供時代のトラウマも関係していると思われますが、成長して愛を知りさらに複雑な心理状態に陥ってしまったのでしょう。
ミザリーの最新原稿をポールに焼失させたアニーの本当の目的
アニーは、ミザリーの最新作の原稿を燃やすようにポールに強要しますが、なぜ自分で燃やそうとしなかったのでしょうか。
アニーの心理状態と精神障害とも思える狂気的な行動から考えてみました。
原稿を燃やすよう強要するアニーは最新作を無きものにしようとした
最新作の初稿を読んだアニーは結末でミザリーが死んでしまうことに憤慨します。
ミザリーに自分を重ねていたアニーにとって存在が消されたような気持になったと思い込んでも無理はありません。
アニーはこの最新作を、初めから無かったものにしたかったのでしょう。
ポール自身で原稿を燃やすことで誰もその存在は知らないことになります。自分で燃やすと最新作の存在を認めたことになるのです。
また、ミザリーへの深い愛情から、自ら手を下すことをためらったのかもしれません。
ミザリーへの依存とポールへの支配関係依存
アニーはポールを自分のものにしたかったのでしょう。
最初は彼の作家としての才能が、気持ちがエスカレートしてからはポールのすべてが欲しくなったと思われます。
ポールに原稿を燃やすように強要するアニーは、すでに支配関係依存症になっていたのでしょう。
ポールにとって屈辱的な自分の原稿を燃やすという行為をさせることで、彼に対する支配欲を満たそうとしたのかもしれません。
アニーの心理状態を逆手にとって応戦するポール
狂気のアニーに対抗するポールの心情はどう変化したのでしょう。
最初は家を抜け出て彼女から逃れることを必死で考えますが、車の事故で重傷を負っている体では思うようにいきません。
やがて、脱出が不可能だと追い詰められたときポールはアニーを精神的に追い詰める策に出たのだと思われます。
逃げる行動をやめ、彼女と対決する決心をしたのです。