この側面を思い出させ、人類を混乱させることでまずは敢えて違和感を与え、メカゴジラが何者なのかと興味を引かせることに成功しました。
圧倒的戦闘力
メカゴジラの本領発揮は何よりもその美しい銀色のスペースチタニウムに覆われた装甲と内面に隠し持つ無数の武器にあります。
目からビーム、鼻から火炎放射、両手両足の指並び膝にはミサイル兵器、胸からクロスアタックビーム、更にバリヤ発生装置等々。
これらに加え飛行能力まで併せ持っているのですから、正に同時代の大人気ロボアニメ「マジンガーZ」ばりの全身武器庫です。
その圧倒的戦闘力はキングシーサーを歯牙にもかけず、また後半の2対1の戦いでもトドメまでは優勢を保っていました。
だからこそ以後のシリーズでも造形や設定を変えながらも受け継がれ、今尚人気を誇るゴジラシリーズの名ライバルであるのでしょう。
メカゴジラがゴジラに似せて作られた理由
ここまで見てきたことを踏まえ、何故メカゴジラがゴジラに似せて作られたのかを見ていきましょう。
ブラックホール第3惑星人は米国人のメタファー
ここまで見てくると、ブラックホール第3惑星人が米国人のメタファーであることが自ずと分かります。
明確なゴジラの敵としてのメカゴジラを操る彼らは正に圧倒的軍事力を誇り、日本並びに沖縄を侵略(しようと)してきた米国人そのものです。
表面上人間と同じ顔ながら、裏には侵略者としてのどす黒い顔を持つ彼らは友好的な振りして力で世界を支配してきた米国の姿ではないでしょうか。
そしてそのように見ていくと、何故メカゴジラがゴジラに模して作られたのかも説明可能です。
ゴジラ対メカゴジラ=日本対米国
誤解を恐れずいえば、ゴジラ対メカゴジラの戦いはそのまま日本対米国のメタファーです。
メカゴジラが最初ゴジラに扮して東京湾を攻撃する様はどこか第二次世界大戦の東京大空襲を彷彿させます。
また、本作のゴジラが富士山の中から姿を現す様を見ると、ゴジラ=日本本土の守り神といえるでしょう。
そう見ると、本作はゴジラとメカゴジラの戦いを通して日本対米国の戦争ドラマを描いているのではないしょうか。
その国家戦争の図式をよりはっきりとさせ、その上でゴジラより上だと示すためゴジラに似せて作られたのです。
軍拡への警鐘
同時にブラックホール第3惑星人の存在やメカゴジラの圧倒的戦闘力が暗示しているのは「軍拡への警鐘」です。
ゴジラを敵と定め、無数のギミックや武器でねじ伏せようとするメカゴジラは軍拡が生み出した悲しき産物でもあります。
ゴジラを倒すためにこれ程の兵器を準備することは同時に戦争が科学の発展に伴う軍拡を促しているともいえるわけです。
本来ならもっと平和的解決を図ることが出来るのに、最初から武力行使が前提で話し合いなどを持つ気はまるでありません。
科学競争により人類は強大な力を手にしてきましたが、反面その力を有用に使いこなすという段階にはまだ至らないのです。
その段階まで来ていないから、メカゴジラはその弱点を突かれる形でゴジラ、キングシーサーの前に敗北を喫したのではないでしょうか。