ビルは医者でお金に不自由していませんでしたし、ハンサムでした。女性にモテることは明白です。
ですから彼は自分に自信があったのだと思います。
しかしそんな誰もが羨むようなビルを夫に持ちながら、どこの馬の骨ともしれない男に心を奪われるアリス。
ビルは自分のプライドを守るため、自分が他の男よりも魅力的なのだと証明しなければならなかったのでしょう。
その証明は自分に課したミッションであり、プレッシャーでもありました。焦る気持ちが極端に性的な妄想を作る原因になったのではないでしょうか。
望まない浮気
もとはといえば妻への嫉妬心から浮気を思い立ったわけですから、本当はビル自身も浮気に乗り気ではなかったと考えられます。
ビルは本心では異性との交わりを求めていなかったのでしょう。
だから娼婦と一線を越えようとしても邪魔が入ったり、患者の娘に誘惑されても受け入れられなかったのだと思います。
できることなら誰かに止めて欲しい。そんな裏腹な心を持っていたはずです。
マンディが意味するもの
妄想世界のマンディはビルの隠された意思、つまり深層心理を具現化したキャラクターだったのでしょう。
であれば謎のパーティーで彼に警告したことも説明がつきます。
浮気をしたくないという強い気持ちがマンディという女性の姿で現れ、ビルをその場から退けさせようとしたのです。
ここで1つ素朴な疑問があります。浮気を止めるだけなら、男の姿として現れても問題ないはずです。
女性の姿なのは何か他の意図があるのでしょうか?
なぜ女性の姿だったのか
浮気をするということは「妻以外の女性にも受け入れられる」という意味でもあります。
男側が女性と関係を持ちたいと思っても、女性に拒まれたら成立しません。
そう考えると、マンディは女性代表としての意味があるのではないでしょうか。
妄想世界のマンディがビルに立ち去るよう警告したことは、女性を代表してマンディが「NO!」といったも同然です。
これでは浮気しようにもできません。
アリスの代わり
本当ならばビルはアリスに浮気を止めて欲しかったのだと思います。しかしながらその欲求を彼は直接アリスに伝えることはできません。
なぜなら自分のプライドがさらに傷つきますし、浮気を試みていたことを暴露することになりますから。このジレンマがマンディになったのです。
アリスに止めて欲しかったらマンディではなくアリスの姿で登場すれば分かりやすいのですが、やはり後ろめたさがあったのでしょう。