ジーグラーが後からマンディが中毒死したと話していました。このシーンは映画を観た誰もが「そんな嘘信じられない」と思ったはずです。
しかし現実と妄想を行ったり来たりするこの作品では、ジーグラーの話した内容は全て真実である可能性が大いにあります。
マンディの死の真相
ビルは現実と妄想のマンディを混同していたと考えられます。
人間は一度怪しいと思ったら全てが怪しく思えてくるものです。あのパーティーで自分の代わりに死んだのだと勝手に思い込んだのでしょう。
ジーグラーが嘘をついているわけではなく、彼女の死因はやはり中毒死だったと思われます。
役目が終わった
ビルの妄想世界でのマンディは身代わりになって死亡しました。妄想の産物が死ぬのはどのような時なのでしょうか。
それはきっと役目が終わった時だと思います。妄想世界のマンディはビルの浮気行為を止めようとしていました。
その結果ビルは誰とも一線を越えることなく、妻のもとに戻ったのです。
もう存在する必要のなくなったマンディは、ビルの身代わりという形で消えて行ったのでしょう。
ビルが求めていたものとは?
妻に嫉妬して浮気しようとしたビルは、結局何もできずに家庭に戻りました。彼が本当に求めていたのは浮気することだったのでしょうか?
やはり答えは「妻に愛されたかった」の一言に尽きると思います。
もしビルが浮気に成功したとしても、彼の憤りはおさまらないでしょう。むしろ虚しさがこみ上げてきて、自暴自棄になっていたはずです。
ラストには妻に受け入れてもらい、幸せな日々が戻ってきたのですから、これが答えなのです。
大きく目を閉じよ
付き合いたての頃は恋人の何もかもを知りたいと思いますが、結婚後はお互い嫌な部分が目につくものです。
特にビルとアリスの様に倦怠期の夫婦は、見て見ぬ振りをする事が意外と大切。
映画のタイトル「アイズワイドシャット」は「大きく目を閉じよ」と訳されます。
それは夫(妻)に興味をなくせという意味ではなく、広い心で包み込もうということです。
ビルがアリスの過激な告白に目をつぶり、アリスがビルの浮気行為に目をつぶったこと。
それこそがタイトルそのものを表しているのではないでしょうか。
お互いを許し合ったビルとアリスは以前より幸せになりました。
目を閉じると同時に心を開くことの重要性を、斬新な作風で切り込んだ作品が映画「アイズワイドシャット」なのです。