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「潜水艦映画にハズレなし」とはよく言われるもので、ハンターキラーもその言葉が当てはまります。
映画中ロシア国防相ドゥロフは、クーデターを起こしてロシア政権を乗っ取りました。
計画はアメリカ海軍に潰されましたが、結局ドゥロフがクーデターを起こした狙いは何だったのでしょうか。
また、艦長が命令しているにもかかわらずロシア駆逐艦ヤヴチェンコは、アメリカ原子力潜水艦アーカンソーを攻撃しませんでした。
ヤヴチェンコのロシア兵はほとんど口を開かなかったので、その真意は明確には分かりません。
そこで今回はドゥロフがクーデターを起こした真意と、ロシア兵がアメリカを攻撃しなかった理由を考察していきます。
ドゥロフがクーデターを起こした狙いは、アメリカとロシアの長年続く関係性
ロシア国防相のドゥロフがなぜクーデターを起こしたのかは、まずアメリカとロシアの歴史的背景を知る必要があります。
ハリウッドのスパイ映画やミリタリー映画では、必ずと言っていいほど関係している歴史的背景です。
米ロ冷戦はお互いが直接戦争をしたことがない
第二次世界大戦以後、アメリカとロシア(当時はソ連)は世界のリーダーとしての覇権を競う冷戦を行いました。
そのために、ベトナムや朝鮮半島、中国などさまざまな国で代理戦争が行われます。
またアメリカとロシア両国は軍備拡張を進め、核兵器の量産、宇宙産業の開発を競い合ってきました。
結局アメリカとロシアの当事国同士は直接戦争を行なわれなかったため「冷戦」と呼ばれ、1990年代に冷戦は終結を迎えます。
とは言っても、事あるごとに対立する米ロ。昔ほどないにしても、牽制し合う存在です。
そんな歴史的背景から、ドゥロフはアメリカのことを完全に敵視していました。
目指すは米ロ開戦。第三次世界大戦勃発
好戦的なドゥロフはロシア軍指揮権を手に入れ、アメリカとの戦争を望んでいました。
映画冒頭でのロシア原子力潜水艦コーニクの内部爆破、アメリカ原子力潜水艦タンパ・ベイへの攻撃はすべてドゥロフが仕組んだこと。
それによってアメリカが反撃してくると踏んだドゥロフは、そこを起点として米ロ開戦をしようとしたのです。
米ロの対立はあると言えど、軍備縮小や核廃絶に世界は向かっており、ドゥロフはそれが面白くありません。
米ロ開戦が起きると、必然的に周辺諸国も参戦することは間違いなく、そうなると第三次世界大戦が勃発します。
ドゥロフはその混戦の中で、ロシアの軍事力を世界に知らしめたいと考え、クーデターを企画したのです。
米ロ開戦をしたいドゥロフがクーデターを起こし、軍事権を奪取しようとする理由
米ロ開戦をすると言っても、ロシア軍に対する全権を持っているのはロシア大統領であるザカリンです。
ザカリン大統領さえ「開戦」を宣言すれば、と思いドゥロフは陰謀を企てました。
ザカリン大統領を襲うまでのクーデターは起こす必要はありません。
なぜクーデターまで起こしたのかというと、大統領との考えの相違でした。
弱腰のザカリン大統領
ドゥロフは最初からクーデターを起こそうとは考えていませんでした。
自作自演でロシア軍の潜水艦コーニクが沈んだ時、ザカリン大統領にアメリカを攻撃するように進言しています。
ロシアの主権を守るべき、敵の潜水艦を一掃しましょう
引用:ハンターキラー/配給:ライオンズゲート
敵とはアメリカ海軍のことを指します。しかしザカリン大統領は「すぐに戦争をする」とはなりませんでした。
むしろ、アメリカに事情を聞こうとします。その姿はドゥロフから見れば「弱腰」なのです。