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MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)14作品目となる「ドクター・ストレンジ」はフェイズ3の2作品目にあたります。
主演を演じるのはイギリス人俳優のベネディクト・カンバーバッチ、 BBCドラマ「SHERLOCK / シャーロック」で一躍世界中を虜にした俳優です。
今回のマーベルヒーローは哲学的ともいえる異質の戦い方をし、これまでのヒーロー像とは大きく異なります。
その戦いの本質はどこにあるのでしょうか?またモルドが残した言葉は何を意味するものなのでしょうか。
MCU独特の他シリーズとの繋がりも要チェックです。
MCUの中でも異質なドクターストレンジ
これまでのMUC作品の多くは突然変異でスーパーパワーを持った主人公が、悪を倒していくストーリーですが「ドクター・ストレンジ」はもっと現実的でありながら最も異次元的な作品です。
天才外科医の彼は敵すら傷つけられない
MUC作品は完全懲悪の世界観で、ヒーローは悪を迷いなく倒していきます。しかしドクター・ストレンジは敵であっても簡単に殺傷することはありません。
それは彼が医者という立場で、命を救うと誓っていたからですが、ファンからは「主人公が弱い」という批判も多かったようです。
しかし果たしてドクター・ストレンジは本当に弱いヒーローなのでしょうか。
拍子抜け?説得して仲直り
敵を傷つけられないヒーローは、ラストシーンでも敵を説得してしまうという結末です。
MUCファンとしては、スッキリしない結末という声が多く上がるのも納得です。
しかし、ドクター・ストレンジの結末はこれで良かったのかも知れません。
完全懲悪でない世界、正義の裏にある矛盾こそがこの映画の軸となる考え方だからです。
敵がコテンパンにやられてしまっては正義は勝つというありきたりのエンディングとなっていたでしょう。
戦いの本質は「内なる闇」
ドクター・ストレンジの戦いについては少々混み入っていており、ヒーローとして弱いのではないのか?という疑問も浮上しています。
実際の戦いの本質はどこにあるのでしょうか?
道を間違えるなという教え
劇中でストレンジは下記ような教えを受けています。
歩むべき道に気をつけろ間違えたら二度と戻れない
引用:ドクター・ストレンジ/配給会社:ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズ
パワーを主とする歴代のマーベルヒーローとは違う、重みを感じるセリフです。
ドクター・ストレンジの敵は「闇」ですが、これはハリ―・ポッターシリーズやスター・ウォーズを彷彿とさせる設定です。
人並み外れた力を持つヒーローにとって闇に落ちないことが最も重要で、最も困難なことなのでしょう。
誰しも強くなればなるほど、欲や傲慢さ、そして権力を握りたがるものです。
その欲に溺れない精神力を身に着けたドクター・ストレンジは決して軟弱なヒーローではありません。
戦いの本質は「物事の矛盾と戦う」こと
ドクター・ストレンジは完全懲悪ではない部分を残した作品となっています。悪役のカエシリウスをみても、彼なりに優れた世界を作ろうとしています。
実は闇という世界は、常識と考えられている物事に対して矛盾を感じる心でありそれが膨らむと闇の力に支配されていくのではないでしょうか。
この哲学的な考え方は「ポストモダニズム」と名付けられ様々な分野で取り入れられています。
ドクター・ストレンジの中では下記のような矛盾が描かれています。
- ストレンジは医学を絶対的な存在と思っていたがそうではなかった
- エンシェント・ワンは魔術を大切にする反面、限界を知りドルマムゥに頼った
- モルドは魔術の存在に疑問を感じ、離れていく
闇という敵は己の中にも潜んでおり、常識的なことに矛盾を感じた時に心を侵食していくものなのでしょう。