ベッカは過酷な現実とぶつかっていく中で自分の存在意義を見出せなくなり、次々と大切な人達を傷つけます。
そして遂には警察沙汰を起こし、ベラーズから追い出された挙句数少ない理解者だったジェシーからも絶交されました。
何故こんなことになったのか?それは彼女の中にあるのが「恨み」や「八つ当たり」といった負の感情だからです。
人は一度潜在意識でマイナス感情に囚われると、それが肥大化して最終的に自身に跳ね返ってくるといいます。
正に「人を呪わば穴二つ」であり、周囲の人々を恨み妬み蔑み向き合うことから逃げ続けたばかりに人が離れたのです。
そしてそれはジェシーから告げられた絶交をもって決定打となり、ベッカのアイデンティティがここで「死」を迎えます。
「逃げる」のではなく「受け入れる」こと
ベッカが自分を取り戻すことが出来たきっかけはジェシーに勧められた映画「ブレックファスト・クラブ」を観たからでした。
それまでの彼女は自分を否定し親を否定し周囲の人達を否定する、と目の前の現実に不平不満ばかりを並べ立て「逃げて」いました。
しかし、逃げた所で彼女自身が抱える問題は何も解決せず、それどころかどんどん背後から問題は迫ってくるばかりです。
そこで彼女は初めて「受け入れる」ことの大切さ、冷静に自身を客観視することの大切さを学び「再生」を果しました。
ベラーズが優勝出来た理由
「ピッチ・パーフェクト」のメインの見せ場であるアカペラ大会決勝とその末に果した奇跡の優勝。
それまでチームの絆も何もかもがバラバラだったベラーズは何故この大会に優勝出来たのでしょうか?
「否定する」のではなく「認める」こと
ベッカが辿り着いた自身を「受け入れる」ことが今度はベラーズというチーム全体を大きく変えました。
彼女が真心の籠もった謝罪をしたことでメンバー達も腹を割った本音での話し合いが出来たことで結束力が強まったのです。
ここにおいて、チームワークにおいて大切な「メンバーの個性を認めること」がベラーズは漸く出来たことになります。
メンバーの個性や色が違うのは当たり前、大事なのは違いを認めた上で「短所」ではなく「長所」に転じること。
そしてこれが決勝における最高のアイデアとして結実するのです。
バラバラであることは最大の長所
そんなベラーズが決勝で見せたパフォーマンス、それはメンバーの個性を最大限に生かした合唱と振り付けでした。
ここでの大事なポイントはこのパフォーマンスが決してチーム全体を無理に統一しようとしていないことです。
個性がバラバラであることを逆手に取り、メンバーの長所を見せ場として反映することで新しい総合芸を生み出しました。
これはチーム全体を一つに統一した完成度の高いパフォーマンスを見せたトレブルメーカーズとは真逆の方向性です。
しかし、その逆転の発想こそがベラーズ優勝の最大の鍵となったのは間違いありません。
チームワークの本質
こうして紆余曲折の果てにチームとしての優勝を果たしたベラーズですが、ここにはもう一つ大事な教訓があります。
それはチームワークの本質があくまでもゴールをしっかり見据えて動いているか否か?です。