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1974年公開の「ゴジラ対メカゴジラ」で鮮烈なデビューを果たしたメカゴジラ。
宇宙人がゴジラを倒すために製造した全身武器のメカゴジラは、強烈な存在感で子供たちの人気を得ました。
そのメカゴジラが19年の歳月を経てスクリーンに復活しゴジラと戦った1993年公開の「ゴジラVSメカゴジラ」。
しかも今作では対ゴジラ用兵器として開発され、人類の味方としての登場です。
圧倒的な力でゴジラを追いつめたメカゴジラでしたが、最後は怪獣「ラドン」のエネルギーを与えられて復活したゴジラに倒されます。
一度はゴジラに勝利したメカゴジラが何故負けたのか。
ゴジラと敵対していたはずのラドンがゴジラにエネルギーを与えた理由と合わせて考察してみましょう。
変化したゴジラのキャラクター
1984年公開の「ゴジラ」から1992年公開の「ゴジラVSモスラ」までゴジラは一貫して人類の敵として描かれていました。
しかし今作ではゴジラのキャラクターに変化が現れます。それはどんな変化でしょうか。
VSメカゴジラでのゴジラの行動理由
今作でのゴジラの行動理由は同族のベビーゴジラを探すことです。
それ以前の作品では破壊のため、あるいは敵怪獣と戦うことを目的にゴジラは現れていました。
その姿は作中世界の人物にとっても観客にとっても恐怖の象徴です。
ですが、今作で世界にただ一体だけ生存していた同族のベビーゴジラを探すゴジラ。
その姿はまるで子どもを探す父親のようで観客がゴジラに感情移入できるようになっています。
生きる時代を間違えてしまった悲運
ベビーゴジラの存在はゴジラに、生きる時代を間違えてしまった生物というキャラクター性も与えました。
ベビーゴジラを探す過程でゴジラは街を破壊します。
そして人間が操るメカゴジラと戦うゴジラ。
しかし、今作のゴジラにとってメカゴジラと戦うことは重要なことではありません。
ゴジラはただベビーゴジラを探したいだけ。
それにも関わらず痛めつけられるゴジラの姿に感じる現代に迷い込んでしまった生物の悲しみ。
そして、そんな悲しみを持っているからこそ生まれるパワーがゴジラ勝利の鍵です。
ベビーゴジラに注がれる愛情
映画の鍵となるベビーゴジラ。
ゴジラが勝てたのはベビーゴジラを守るという強い意志があったからです。
様々な人物から愛情を注がれるベビーに対してメカゴジラに作中で愛情を表現する者はいません。
人類にとってはメカゴジラの価値は兵器という一点のみ。
もしメカゴジラに愛情を持ち撤退を考える者がいれば破壊されることはなかった。
メカゴジラの敗北は愛情を注ぐ者がいなかったことも理由です。
もう一人のベビーの守護者ラドン
昭和のシリーズで活躍し待望の復活となったラドンはどんな意味を持っていたのでしょうか。
ゴジラと同等の存在
ラドンはもう一体のゴジラというべき立ち位置を担っています。
それはゴジラと同じくベビーゴジラを守護しているからです。