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ロバート・ラングドン教授でおなじみのミステリーシリーズの一つである「インフェルノ」は2016年に公開された映画です。
「ダ・ヴィンチ・コード」「天使と悪魔」に続く第3弾となる映画化作品は、中世の街並みが魅力的なイタリアのフィレンツェを中心にストーリーが展開されます。
そこで今回は物語のカギを握るダンテの「神曲」を紹介しながら、原作小説と異なるラストシーンのシエナの行動についても徹底解説していきます。
映画「インフェルノ」の原作
映画「インフェルノ」は小説家ダン・ブラウンの同名小説が原作となっています。
ラングドン教授シリーズの4作目が映画化
ラングドン教授を中心にストーリー展開する小説シリーズ。
すでに映画化されている「天使と悪魔」(2000年)「ダ・ヴィンチ・コード」(2003年)の他に「ロスト・シンボル」(2009年)「オリジン」(2018年)があり「インフェルノ」は2013年に発表された4作目となります。
ストーリーの大まかな流れは原作小説からの変更はほとんどありません。
映画化にあたり大きく設定変更されている部分はラストシーンにおけるシエナの行動や結末、ウイルスの性質が挙げられます。
また原作で登場していた人物が映画で省かれていたり、逆に映画オリジナルの人物が登場したりと登場人物の設定に違いがみられます。
物語のカギを握るダンテの「神曲」
ストーリーの中で登場するヒントの一つにイニャツィオからのメールに記された「天国の25」という言葉がありますが、これは「神曲」の天国篇・第25歌を指しています。
このようにダンテの「神曲」は物語の鍵を握る大切な要素となっています。
ダンテの「神曲」
「神曲」は13〜14世紀にかけてフィレンツェ出身のダンテが書き上げた長編の叙事詩です。
イタリアでは義務教育の中で必ず取り扱わなければならない文学作品とされているため多くの人が「神曲」の最初のフレーズを暗記しています。
「神曲」は14,233行の韻文から成り、3行一連となる「テルツァ・リーマ(三行韻詩)」で構成されています。
また「地獄篇」「煉獄篇」「天国篇」の3章に分けられています。
それぞれの篇は33歌章で編成されており、そこに1つの序文が入るので合計100の歌章で成り立っています。
このように「神曲」は聖なる数字とされている「3」をベースとし、カトリック教義である「三位一体」を表現した作品となっています。
また当時の文学作品はラテン語で書かれているものばかりだったのですが、「神曲」は大衆でも理解できるトスカーナの話し言葉で書かれました。
宗教色の強い作品ですが、文学的には世界古典文学の中でも上位に位置づけられるほどの評価を受けている作品です。
フィレンツェの中心街を歩いていると建物の外壁に「神曲」の中のさまざまな歌の一部が刻まれた石版が掲げられており、特にフィレンツェでは浸透している文学作品といえます。
「神曲」の世界
「神曲」は3つの章から成り立っています。
物語は「地獄篇」から始まりますが、最初に「地獄の門をくぐる者は希望を持ってはならない」という文言が記されており地獄へ落ちる恐ろしさを感じることができます。
煉獄山は地獄界と違い罪を犯したものの更生の余地がある死者がいる場所で、犯した罪を浄めることができると天国に向かうことができる世界です。
地獄篇(第一圏〜九圏の地獄界) | 煉獄篇(第一冠〜七冠の煉獄山) | 天国篇(第一天〜十天の天国界) |
第一圏:リンボ | 第一冠:高慢者 | 第一天:月天 |
第二圏:愛欲者 | 第二冠:嫉妬者 | 第二天:水星天 |
第三圏:貪食者 | 第三冠:憤怒者 | 第三天:金星天 |
第四圏:貪欲者 | 第四冠:怠惰者 | 第四天:太陽天 |
第五圏:憤怒者 | 第五冠:貪欲者 | 第五天:火星天 |
第六圏:異端者 | 第六冠:暴食者 | 第六天:木星天 |
第七圏:暴力者 | 第七冠:愛欲者 | 第七天:土星天 |
第八圏:悪意者 | 第八天:恒星天 | |
第九圏:裏切り者 | 第九天:原動天 | |
第十天:至高天 |