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八つ墓村はいわずと知れた横溝正史の超有名ミステリーです。
これまでにテレビドラマや映画など何度も映像化されています。
それぞれの映像化作品によって雰囲気が違い原作とのストーリーの相違もある作品。
日本一有名な探偵といっても過言ではない金田一耕助役も数多くの俳優が演じてきました。
1977年に公開された八つ墓村で金田一耕助を演じるのは渥美清。
本作ではくたびれた白シャツにズボンという出で立ちで、他の作品の金田一とは大分感じが違います。
監督の野村芳太郎は松本清張原作の映画を多く手掛けて来ました。
しかし、横溝正史原作の作品を撮ったのはこの1作のみです。
渥美清の金田一耕助もシリーズ化されることはありませんでした。
昭和13年におきた実際の事件、津山30人殺しをモデルにして書かれたことはあまりにも有名な話。
昭和初期の山間の村社会がリアルに描かれている作品でもあります。
本作では原作とは異なる時代設定がなされており、そういったところも見所のひとつです。
八つ墓村という村の名前の意味や祟りとは何なのか。
そして主人公である辰弥の多治見家との関係の真相などを深く考察していきます。
複雑な人物相関を深堀りする
天涯孤独だと思っていた寺田辰弥にある日突然多治見家のあと継ぎであるという話が舞い込みます。
東京へ来た辰弥の亡き母、鶴子の父が目の前で怪死。
その事件が発端となり、八つ墓村の祟りの世界へと引き込まれる辰弥。
都会で育った辰弥にとって村の印象はどんなものだったのでしょうか。
多治見家の妾であったという亡き母、鶴子。
その母の故郷の地をただ見てみたいという思いで村へ帰った辰弥は複雑な心境だったはずです。
辰弥の本当の父(であるとされる)今は亡き多治見要蔵。
大叔母の小竹と小梅、腹違いの兄弟の兄、久弥と姉、春代。
村医の久野医師は多治見要蔵の弟にあたります。
長い間東京で一人で生活していた辰弥にとって血縁という存在は嬉しかったでしょうか。
おそらく突然血縁だといわれてもすぐには受け入れられなかったに違いありません。
村にただよう一種異様な雰囲気にも気後れがしたでしょう。
ですが否応なくこの村事件に巻き込まれ、一族の暗部へと引きずられていきます。
そして西屋の美也子とともに自身の出生の謎へとせまっていくのです。
八つ墓村のモデルとなった実際の殺人事件
津山30人殺し
津山30人殺しといえば誰もが聞いたことがあるでしょう。
昭和のはじめにおこったこの恐ろしい事件。
なんとたった1時間半ほどで村の半数の30人を惨殺するという日本の犯罪史上類を見ない残虐な殺人事件です。