出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B084FVTX63/?tag=cinema-notes-22
作品全体をワンカットになるよう仕上げることで、圧倒的な没入感を演出した作品『1917 命をかけた伝令』。
第92回アカデミー賞では撮影賞など映像・撮影技術に関する3部門を受賞しました。
そんな特に評価されているワンカットの映像が生まれた背景や演出効果について解説。
さらに実際の第一次大戦での状況と照らし合わせながら、攻撃中止の理由や物語のその後に追ってきます。
サム・メンデス監督
演出家としてキャリアをスタート
今作の監督を務めたのはイギリスのサム・メンデス監督。
彼は舞台の演出家としてキャリアをスタートしました。なお、この頃から多くの賞を受賞。
キャリアの初期からすでに演出に関しての才能を発揮していました。
ロンドンやニューヨークでいくつもの舞台(『オリヴァー!』『十二夜』『桜の園』『キャバレー』『ブルー・ルーム』等)を演出し、ローレンス・オリヴィエ賞を始め数々の賞を受賞している。
出典元:https://ja.wikipedia.org/wiki/復讐者に憐れみを
映画監督としては、その後1999年に『アメリカン・ビューティー』でデビュー。
大ヒットとなった同作でアカデミー賞をはじめとした数々の大きな賞を受賞しました。
『007』シリーズの大ヒット
メンデス監督はその後も多くの話題作を生み出しますが、最近で特に注目を集めたのは『007』シリーズです。
同シリーズをアカデミー賞受賞歴のある監督が担当するのは同作が初めてのこと。
演出力を高く評価されるメンデス監督が『007』をどのように描くのか、大きな期待が寄せられていました。
結果的に2012年公開の『007 スカイフォール』は大ヒットし、アカデミー賞を受賞。
続く次作2015年公開の『007 スペクター』でも監督を務めることとなりました。
第85回アカデミー賞では『007』シリーズとしては、1965年の『007 サンダーボール作戦』以来となる、実に47年振りのアカデミー賞で2部門を獲得。その3年後の2015年には続編となる、『007 スペクター』も監督した。
出典元:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%A9%E8%AE%90%E8%80%85%E3%81%AB%E6%86%90%E3%82%8C%E3%81%BF%E3%82%92
この2作で『007』の人気を再び高め、映画監督としての地位を確立したメンデス監督。
そんな彼の最新作ということで、『1917 命をかけた伝令』は公開前から大きな話題となっていたのです。
没入感を生み出すワンカット映像
縦横無尽のカメラワーク
今作で特に注目を集めた演出技法が、ワンカットに見えるよう仕上げられた映像。
まるで主人公と共に戦場にいるかのような映像になっているのです。
メイキング映像などを見てみると、あの手この手を尽くして撮影が行われていることが分かります。
カメラを手持ちからクレーンへ引き継いだり、バイクに乗ったりしているため、カメラに写る範囲も一定ではありません。
そのため、スタッフが映り込まないように導線の確認も厳しく行われていたことでしょう。
天気との戦い
また、物語内では1日しか時間は経過していませんが、撮影自体は数日に渡り行われています。
室内のセットであれば、そこに大きな問題は生じませんが、この作品のシーンはほとんどが野外です。
そのため、空模様の統一という問題も大きくのしかかっていたことでしょう。
作品のスタッフクレジットに天気に関する専門家の名前が記載されていることから、その様子が伺えます。
実際、作品を通してみると終始空はどんよりとした曇り模様になっていました。