そのため、スコフィールドが通過する街で出会った、赤ん坊と一緒にいた女性はフランス語を話していたのです。

攻撃中止が発令された理由

史実に基づいた戦況

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この物語は攻撃中止の発令を電話の通じなくなってしまった前線へ届けるために始まります。

ではなぜ攻撃中止が発令されたのか。この作戦については歴史上の西部戦線の戦況をベースとしています。

当時ドイツ軍はフランスへの侵攻で、突出した2地域を獲得していました。

その地形を活かすために間の前線を下げ、挟み込みやすい地形を形成しようと考えたのです。

これがアルベリッヒ作戦というもので、後退した先であるヒンデンブルク線でドイツ軍は要塞の建設を進めていました。

しかし、イギリス軍の偵察機がその要塞を発見し、この作戦が明らかになります。

その事を知るまで、イギリス軍はドイツ軍が単純に戦力を失って後退していると判断していました。

そんなイギリス軍を引き止めるという物語の流れは史実に基づいた内容になっています。

ドイツ軍は前線にヒンデンブルク線(英語版)と称される要塞群の建設を行っていた。ルーデンドルフの意図したのは、凹凸が生じている西部戦線を整理し、人的資源にやや劣るドイツ軍でも十分な防御が行えるようにすることであった。

出典元:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A5%BF%E9%83%A8%E6%88%A6%E7%B7%9A_(%E7%AC%AC%E4%B8%80%E6%AC%A1%E4%B8%96%E7%95%8C%E5%A4%A7%E6%88%A6)

なお、ドイツ軍の撤退は1917年の4月に完了しました。

作中に桜の花が咲いていることからも、撤退完了直前を想定して構成されているのではないでしょうか。

祖父の実話を元にしたストーリー

この物語は最後のテロップからもわかるように、サム・メンデス監督の祖父、アルフレッドの話を元に作られています。

実際に彼がアルベリッヒ作戦の伝令を務めたわけではありません。

しかし、アルフレッドは西部戦線に配属されており、実際に伝令役を務めていました。

当時のアルフレッドの経験した物語をメンデス監督が彼から聞いた話や、彼の書いた回顧録を元に再構成しているのです。

資料集めの難しさもあり、第一次大戦を元にした映画は少なくなっていますが、彼の存在が貴重な資料となったのでした。

ウィルのその後は?

戦争はまだまだ続く

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第一次大戦はこの後、1919年のヴェルサイユ条約をもって終焉を迎えます。

ですから、この伝令が終わったからといってウィル(スコフィールド)の戦いは終わりではないのです。

また違う役目を持ってこの大戦を生き延びなければならない。

最後のシーンで目を閉じ安息を味わうことができるのは、ほんの少しの時間だったはずです。

大戦を生き抜いた祖父アルフレッド

しかし、この物語の元となった監督の祖父であるアルフレッドは生きて大戦を終えることができました。

だからこそ、この作品は生まれたのです。

そう考えると、ウィルもまた無事に国へ帰ることができたと考えられるのではないでしょうか。

最後に見つめていた家族と思しき写真は、この作品を生んだメンデス監督へと繋がるピースとしての役割を持っていたのかもしれません。

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