出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B083G98XWT/?tag=cinema-notes-22
「よこがお」は、平穏な日常を生きてきた市子が、世間の風評被害にさらされて復讐しようとする心理サスペンスドラマです。
加害者家族が被害者になっていくストーリーを追いながら、市子や基子の心理状態や行動の意味を考察してみました。
基子はなぜマスコミに秘密を話したのでしょう。
市子が復讐のために自分を偽って和道に近づいた目的や、基子との最後でクラクションを鳴らし続けた理由なども解説します。
監督は、映画「淵にたつ」で第69回カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門審査員賞を受賞した深田晃司さん。
主役の筒井真理子さんは、見事な演技力で善悪や好意と嫉妬などに振り回される主人公を演じています。
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/よこがお
偽名で美容院を予約した市子
リサという名前で美容院を予約した市子。
基子への復讐を果たすために和道に近づくわけですが、なぜ予約に偽名を使ったのでしょうか。
基子から名前や容姿は聞いているはず
市子は、和道は基子から自分の名前や容姿などを聞いていると考えたのでしょう。
自分の正体を悟られないように偽名を使ったと思われます。
市子は気付いていませんが、二人が一度偶然に出会っているのも和道の既視感につながっています。
二人が出会ったのが被害者救済センターの前というのも奇妙な因縁です。
基子と付き合っていた和道が、基子のために情報を仕入れに行っていたのでしょう。
赤い服は復讐に臨む市子の気持ちのあらわれ
市子は、リサという仮面をつけて、まったく違う人間になろうとしたのかもしれません。
まわりの人たちから信頼されていた以前の性格は、復讐の邪魔だったのです。
美容院に行った時の赤い服は、復讐に燃える市子の決意のあらわれだったと思われます。
過去の白を基調にした地味な服装と正反対の色合いです。
復讐を胸に秘める市子が、身も心もまったく違う人間として行動しようとしていたのです。
平穏な日常が地獄に一変する社会の不条理
平和な日常生活を送っていた市子にとって、ある日突然加害者の家族になってしまうことなど想像もしていなかったでしょう。
不条理な世間の風評という、自分ではどうにもできない負のスパイラルに堕ちていく市子。取り巻く人たちの目が一変します。
基子の気持ち
基子は市子に対して、同性への親しみ以上の感情を抱いていました。市子への愛情です。
愛情が大きければ大きいほど、嫉妬の念は強くなります。
事件の加害者の家族への憎しみ以上に、基子には市子を自分のものにできないジレンマが働いていたのでしょう。
基子にとって誘拐事件は、市子に対する自分の欲望が実現するチャンスととらえていたのではないでしょうか。
これで市子は自分だけのものになると考えた基子。
市子がこの期に及んでも戸塚との結婚をあきらめないことだけが、基子には許せなかったのです。
風評被害にさらされていく市子
基子の嫉妬はやがて、最悪の事態を引き起こします。
市子が、風評被害やマスコミの暴力にあって追い詰められたのは、みんな基子の言動が原因でした。