情報元が基子だとわかったときの市子には、なぜそんなことをするのか解らなかったのです。

自分に対する基子の気持ちに気づいていなかったと思われます。

市子の信条は、周囲の人との信頼関係を構築して誰からも恨まれない暮らしだったのです。

最も信頼していた基子や大石家から恨まれることは、市子の心を深く傷つけたでしょう。

報道のもつ正義と凶器の二面性

マスコミ報道は、悪を白日の下にさらす正義であるべきですが、時に凶器となることがあります。

市子を追い詰める報道は凶器そのものでした。

ある意味基子はマスコミが凶器を振りかざすネタにされてしまったのです。

加害者本人はともかく、その家族にはプライバシーを守る権利さえも許されないのでしょうか。

市子を追い詰め復讐に駆り立てた原因は、度を越えたマスコミの取材攻勢だったともいえます。

加害者と被害者

この事件の被害者は誘拐されたサキと大石家の人たちですが、加害者の家族も間接的には被害者なのです。

誘拐犯人の辰男だけでなく、加害者の家族というだけで世間は加害者のレッテルを貼ってしまいます。

市子は風評被害のあおりを食い世間の敵になってしまいました。

大石家のその後はどうなったでしょう。

画家である大石塔子は亡くなっていますが、家族は引っ越し先で平和な暮らしをしているのでしょうか。

サキが、トラウマやPTSDを発症してしまうと大石家はこれからも長い戦いが続くことになります。

基子の市子への愛と嫉妬

二人の女性

基子の行動の裏に、同性を愛してしまった女の嫉妬の深さが描かれていました。

市子だけを愛した基子は自閉症だった

基子にとって最もつらかったのは、市子が自分の気持ちに気づいてくれないことだったのでしょう。

その思いが、市子への独占欲にエスカレートしていったと思われます。

愛しい気持ちが高まりすぎて、思い通りにならない時に相手を憎み追い込む行動に出てしまったのです。

基子は自閉症だったのかもしれません。いつも同じ服を着て外部との接触を避けているようでした。

基子にとって、心を許せたのは市子だけだったのでしょう。市子への思いはそれだけ切実だったのです。

嫉妬心が巻き起こす最悪の事態

嫉妬心は、自分では気がつかないことが多いといいます。

基子も、自分の行動の重大さがわかっていなかったかもしれません。

もしも、市子が基子の思いに気づいていたら最悪の事態になる以前に対処できたでしょうか。

事件が明るみに出て報道が過熱するにつれて、追い詰められ職も信頼も失っていく市子。

自分の結婚だけは諦めたくないと奔走する市子には、基子の気持ちに気づく余裕がなかったのでしょう。

クラクションを鳴らし続ける市子の思いとは

ナイフ

自分の考えていた復讐が不発に終わってしまった市子。

感情の矛先をどこに向ければよいのか。