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映画「ワイルド・アット・ハート」はセックスと暴力を中心に男女の愛の逃避行を描いた作品です。

逃避行をテーマにした作品だと「勝手にしやがれ」を筆頭としたヌーヴェルヴァーグに代表されています。

しかし、本作独自の魅力はそれを非常にファンタジックに、かつ泥臭いド直球で描いている所です。

役者もニコラス・ケイジとローラ・ダーンを中心に層の厚いメンバーで固めているので安心して見られます。

さて、本稿ではルーラが写真に飲み物をかけた意味を中心に考察していきます。

また、デルが消息を絶った理由や途中で出てくる魔女の正体なども見ていきましょう。

複数のメタファー

メタファーと身体性

「ワイルド・アット・ハート」では主人公のセイラー、ルーラを中心に幾つかのメタファーがあります。

考察を進めていく上での取っかかりとなりますので、まずはここを見ていきましょう。

親の愛

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まず一つには「親の愛」がセイラーとルーラを対比させる為の効果的なメタファーとなっているということです。

セイラーはワイルドさや自由を謳歌し派手に見せているものの、それは両親の愛に餓えている孤独の反動からでした。

一方ルーラは母の過剰な愛を受けて育った為か、純情で真っ直ぐな擦れた部分のない女性として描かれています。

即ちこの二人は単なる男女の愛だけではなく、「親の愛」によって強烈にそのキャラクター性が対比されているのです。

つまり「親の愛を知らない男」と「親の愛に束縛されすぎた女」という対比で成り立っています。

ヌーヴェルヴァーグのアンチテーゼ

ANTITHESE(通常盤)

親の愛によって歪みを生じた二人の性格は拡大解釈するとそれ自体が“ヌーヴェルヴァーグのアンチテーゼ”といえます。

セイラーのロック魂溢れる若者の性格はヌーヴェルヴァーグ期に目立ったロックな映画スターを皮肉っているのです。

実際の彼は内面が脆く、ルーラの愛による支えがなければ生きていけない程甘さや隙が目立ちます。

一方のルーラも献身的にセイラーを愛しますが、最初は束縛する母からの独立を果たしたいという思いからでした。

これもまたかつての健気な映画ヒロインへのアンチテーゼといえ、幾分人間くさく感じられます。

映画スター、ヒロインの型を取り込みながらも、実はその存在自体がどこか狂っていることを知らしめるのです。

これもまた二人の人物造形に織り込まれている隠喩でありましょう。

執着のメタファー

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そして何よりセイラーとルーラをほぼ終盤まで引っかき回すのが二人を引き裂こうとするマリエッタです。

彼女はルーラへの愛故にどんな卑劣な手段であろうと構わず用いてセイラーを抹殺しようとします。

時には愛人と称してセイラーと肉体関係を持とうとしたり、何度も殺し屋を差し向けたりと枚挙に暇がありません。

今風にいう毒親ですが、ここまで過激なことを行う悍ましさはもはや毒親の域を超えた大罪人というべきでしょう。

その証拠に後半である事実が判明するとマリエッタがセイラー抹殺を目論む理由が変化していきます。

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