出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B00IHWFH88/?tag=cinema-notes-22
映画「リトル・ミス・サンシャイン」は2006年公開のロードムービー風コメディドラマです。
本作はジョナサンとヴァレリー夫婦の初監督作品、脚本は「トイ・ストーリー3」のマイケル・アーントでした。
個性が強すぎて全く協調性のない落ちこぼれ一家のドタバタ珍道中を描いた本作は瞬く間にメガヒットを記録しました。
批評家からの評価も軒並み高く、興行収入は全世界で1億52万3181ドルという破格の売上を達成しています。
以下、本作の受賞歴です。
第79回アカデミー賞
英国アカデミー賞
第12回放送映画批評家協会賞
第13回全米映画俳優組合賞
第5回ワシントンD.C.映画批評家協会賞
ドーヴィル映画祭
パームスプリングス国際映画祭
第22回インディペンデント・スピリット賞
MTVムービー・アワード
第11回サテライト賞
シカゴ映画批評家協会賞
第64回ゴールデングローブ賞引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/リトル・ミス・サンシャイン
破格のスマッシュヒットを放った本作ですが、今回は家族がステージに乗り込んだ真意を徹底考察していきます。
また、最終的に出場禁止になっても終始笑顔を見せていた理由をも見ていきましょう。
個性がバラバラの家族
本作の主役はまるで個性がバラバラで協調性やまとまりなど欠片もありません。
このような家族構成であることには果たしてどのような意味があるのでしょうか?
欠落
個々の面子を見ていく上で、全体に共通していえるのが一家全員「欠落」を抱えていることです。
主人公は口だけで実行力がなく、母は決断力がなく、叔父に至ってはLGBTで一般的な性癖が欠落しています。
そしてその中で一番のくせ者が薬物中毒かつ遠慮なしに毒舌・批判を周囲にばらまく祖父です。
このように大人、子供を問わず全員がどこかしら「欠落」を抱えており、しかも極端に暴走しています。
ややコメディ風に描かれていなければ、いつ崩壊してもおかしくない家族なのです。
多様化した家族
欠落だらけの一家はいわゆる価値観の多様化に伴い幸福度が少なくなった現代の家庭の象徴ではないでしょうか。
2006年当時、もはや社会は絶対的な規範を失い何を信じて生きればいいのか分からない時代になっていました。
そしてそれはまた家族の絆が薄れていくことにも必然的に繋がっていきます。
彼らは家族であることにまるで幸福を感ず、しかし家族でなければ生きられないジレンマがあったのです。
コメディに騙されずその家族描写を見ていくと、実は誰一人として家庭に対して価値を感じていません。
それを痛烈に皮肉る描写として、この一家の個性がバラバラという特徴は上手く効いています。
一家の転機と試練
そんなバラバラなフーヴァー一家ですが、オリーヴの美女コンテスト出場という大きな転機が訪れます。
しかし、その過程で様々な試練が降りかかり、幾度となく彼らは覚悟を試されるのです。
彼らがカリフォルニアを目指す道の途中で味わった試練はどのようなものだったのでしょうか?
自分と向き合うこと
フーヴァー一家は道中、それぞれが後回しにして逃げていた自信の欠点と向き合うことになりました。
中でも自己啓発ビジネスの契約に失敗した父、失恋相手と思わぬ再会を果たした叔父、薬物中毒が祟って他界した祖父。
三人とも男の情けない部分を集約した存在故それだけ後回しにしていたツケも凄く大きくなります。