そして、観客をストーリーに引き込む効果をもたらしているのが、音楽を担当したカルロ・ルスティケッリのサウンドトラックです。
監督の勧めで映画音楽作家となったカルロ・ルスティケッリ
カルロ・ルスティケッリという名前だけではピンとくる人は少ないと思いますが、彼はイタリアを代表する映画音楽作家のひとりです。
元々は、オペラや劇場音楽の作曲家として活動をしていて、映画音楽作家になろうとは思っていなかった彼。
本作「鉄道員」の監督でもある、ピエトロ・ジェルミの強い勧めによって映画音楽作家となりました。
多くの人がこの曲知っているという曲が、映画「刑事」のテーマ曲『死ぬほど愛して』や『ブーベの恋人』です。
特に『死ぬほど愛して』は邦題よりも『アモーレ・ミオ』といった方がわかる人が多いかもしれませんね。
「鉄道員」のテーマは、時代が変わっても不変のテーマ
「家族」とはを問う
この映画で取り上げているテーマの一つが「家族」です。
私たちは誰もがごく当たり前に我々は家族という中で生きています。
社会という中において一番身近で小さいながらも組織として成り立っているものが家族だと改めて感じさせられます。
組織であるからこそそれぞれに役割があり、問題も起こってくるということを、この作品はうまく物語っています。
「人」とはを問う
そして、もう一つのテーマが「人」ではないでしょうか。
家族と通じるものも当然ありますが「家族」が集合体としてのテーマだとすれば、「人」というテーマは「個」となります。
つまり、尊厳やプライドといったアイデンティティに類するものです。
「個」をつかさどっている尊厳やプライドを見失ったとき、いかに人間の弱さや脆さが出てくるかといいうのは現代においても重要なテーマです。
名作が教えてくれる映画という総合芸術の感動
「鉄道員」が今まで不朽の名作と残ってきたのには、名作としての要素がしっかりあるからというのがあります。
それを、一言でいえば「感情に訴えかけるなにかがある」ということです。
その「なにか」というのが、本記事でお伝えしてきたことに当てはまってきます。
これこそ、映画の醍醐味である『総合芸術』だといえるのではないでしょうか。
観た人の琴線に触れたときに感動が生まれ、共感する人が多い作品が名作といわれるのだとすれば、紛れもなく、これからも不朽の名作でしょう。
まとめ
時代とともに「家族」の在りようというものは、変化していっています。
それは、もちろん時代的に外的環境の変化が大きくもたらすものではあるでしょう。
しかし見た目によるスタイルの変化があったとしても、内側にある人としての人を思いやる気持ちというものは変わることはないはずです。
この作品を単なるクラシックの名作として観るのではなく、「不変のテーマ」として受け継がれ、語り継がれていってほしいものですね。