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【JUNO/ジュノ】作中の小道具の意味を解説!パイプや電話・ギターは何を語る?マークたちの前でジュノが流した涙の理由とは

出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B07D2D8WQH/cinema-notes-22

「10代の妊娠」というと古今東西どこの国のドラマでも重たいテーマになりがちです。

性に関してリベラルで進んだ文化を持つアメリカでも、深刻に受け止められることがほとんどでしょう。

しかし2007年公開の『JUNO/ジュノ』は一味違います。「10代の妊娠」をポップで明るくユニークに描いたことで幅広い人気を得ました。

また元ストリッパーのディアブロ・コーディがこの脚本家デビュー作でいきなりアカデミー賞を受賞したこことでも知られています。

今回はハンバーガーの電話など数多くの小道具・ガジェットを切り口にして、本作の魅力を解説します。

そしてジュノが流した涙の理由は何だったのでしょうか。

ハンバーガー・フォンの魅力

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『JUNO/ジュノ』はさまざまな小道具・ガジェットを活用した映画でもあります。まずはハンバーガーの電話から見てゆきましょう。

ポップ・テイストな作風を後押しした小道具

この映画の小道具として最も有名になったのがハンバーガーの形をしたハンバーガー・フォンでした。

公開後にeBayで販売されると大ヒットしたそうです。劇中では女子高生のジュノが使っていて、それが作風とマッチしていました。

ハンバーガーの電話は映画にポップ・テイストを加えました。10代の妊娠という重いテーマを描く上で大切な小道具になったといえます。

タランティーノ監督の『パルプ・フィクション』でも随所に出てきたハンバーガーが作品全体にポップな味わいを与えていました。

映画の裏側エピソード

UNDERCOVER HAMBURGER LAMPハンバーガーの電話は脚本家のディアブロ・コーディも私用していたそうです。

彼女もジュノやマークのようにポップカルチャーの愛好家なのでしょう。

配給会社フォックス・サーチライト・ピクチャーズは、映画の評判をあげるために批評家などにこの電話を送ったということです。

この賄賂じみた行為もハンバーガーの電話によって笑えるエピソードとして受け取ることができます。

ハンバーガーはアメリカのポップカルチャーの象徴であり、世界中の人をハッピーな気分にさせてくれるものです。

普段何気に食べるハンバーガーには不思議な魔力があるといえるでしょう。

ジュノがくわえたパイプの象徴性

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ジュノはよく煙草のパイプをくわえていました。日本の女子高生にはありえないこの奇妙極まる行為にはどんな意味があったのでしょうか。

老成JK・ジュノ

ジュノは恋人のポーリーに妊娠を告げる際、なぜかパイプをくわえています

親友に妊娠を相談する際にはパイプをくわえながら巨大なグラサンまでかけていました。

それは完全にオヤジ趣味であり、アメリカの女子高生のセンスからもかけ離れているでしょう。

なので脚本家などの作り手はあえてこの演出をしたはずです。パイプをくわえたジュノは何よりも彼女の老成を感じさせます。

監督のジェイソン・ライトマンはジュノについて早く大人になりすぎた少女という認識を持っていました。

パイプはそのイメージを観る側に強く与えたといえるでしょう。何気ない小道具にも作り手側の深い意図があるのです。

煙草がないパイプが示すジュノの弱さ

パイプについて気になることはくわえているのが女子高生だという点だけではありません。そのパイプには煙草が入っていなかったのです。

つまりジュノはパイプ煙草を吸っていたわけではありませんでした。子供のようにくわえていただけなのです。

それは何よりも若い未熟さを訴えてきます。彼女は精神的には老成していながらもまだ人生経験は乏しいのです。

その意味で空っぽのパイプは象徴的です。パイプをくわる姿からは出産への恐怖心を虚勢で隠そうとする彼女の弱い本性が透けて見えてきます

序盤とラスト・対照的なギター演奏デュエット

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劇中ではストーリーを引き立てる小道具としてギターが活躍します。2つのシーンを見てゆきましょう。

マークと弾いたパンクロック

ジュノは子供を子宝に恵まれないマークとヴァネッサ夫婦に養子縁組させようとします。そこで彼女はマークと思わず仲良くなってゆきます。

マークは中年男性ながら音楽やコミックなどポップカルチャーの大の愛好家であり女子高生ジュノと意気投合するのです。

この点は想定外の転換点の伏線にもなっており、とても計算されています。

出会ったその日からジュノとマークは一緒にギターのデュエットを楽しみます。そこで演奏されていたのはホールの”Doll Parts”でした。

ホールはコートニー・ラブが率いる女性パンクバンド。

この後のシーンでヴァネッサはマークが幼いことを非難する際、カート・コバーンの名前を口にします。

カートは伝説的なパンクロッカーでありコートニー・ラヴと結婚していました。

ジュノとマークのギター演奏デュエットは2人のパンクロッカーのような無垢さを明示するものだったといえるでしょう。

ポーリーと弾いたフォークソング

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映画のラストでは、ジュノはポーリーと一緒にギター演奏デュエットをします。

そこで歌われていた曲がインディーズバンド・Moldy Peachesの”Anyone Else but You” でした。

これはカーペンターズなどを思わせる大昔のフォークソング調の曲です。ここには明らかにジュノの心境の変化がこめられているでしょう。

ポップソングの中でパンクロックはまさにティーンの叫び。対するフォークソングは人生経験を積んだ大人の語りかけです。

同じギター演奏によるデュエットを通じ『JUNO/ジュノ』は16才の主人公の成長を表現したといえるでしょう。

コミック色の強い小道具全般

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この映画には他にも小道具を活用している点が多々見受けられます。その中から2つを解説しましょう。

ポップな小道具の起点になったアニメ調のオープニング・タイトル

ジュノの部屋はハンバーガーの電話などポップ・テイストに満ちています。壁には日本の漫画にも通じるコミックのポスターもありました。

そういったポップ・テイストはオープニング・タイトルから始まります。そこでは実写・アニメ・実写とシーンがスライド転換しました。

コミックの原作があるのかと思わせるほどの出来であり、ほぼ手書きで製作に7ヶ月もの期間を要したようです。

このユニークなオープニングは、作品全体にコミック・ポップな小道具を数多くちりばめる起点になったといえるでしょう。

日本の漫画『妊婦ユキ』の真偽は?

映画ではコミックもまた1つの効果的な小道具になっていました。

Most Fruitful Yuki』というタイトルの日本のコミック・ブックが紹介されたのです。

妊娠した女子高生がお腹を丸出しにして刀で斬りかかるその絵はインパクト大でした。

女性の活躍が社会を超えてポップカルチャーにも浸透したアメリカには妊婦のスーパーヒーローも見受けられます。

しかし、日本ではかなり奇抜なアイデアであり、本当に日本の漫画なのかという疑問もわきます。

17歳の日本人の高校生が姉の妊娠からヒントを得て作ったということも書かれたWEBもあります。詳しくはこちら

しかしGoogle検索してもタイトル画しか出てきません。

また多くの英語WEBで脚本家コーディの創造だとあるのでほぼフェイクと見て間違いありません。

ちなみに最初コーディはマークがジュノに見せるものとして妊娠したロックスターのポスターを選びました。

が『妊婦ユキ』の方が作風に合っているので差し替えたようです。この漫画の表紙画もまた映画のポップ・テイストを強める小道具になりました。

ジュノがマークたちの前で泣いた理由

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ジュノがマークとヴァネッサ夫妻の前で大泣きするシーンはインパクト大でした。彼女は何事にも動じないクールな少女だったからです。

泣いたのは第一にマークとの信頼関係が崩れたからでしょう。彼がジュノに言い寄るシーンはこの映画最大のポイント・転換点でした。

それによってマークがいつまでたっても成長できない大人だということが分かります。そして実はそれはジュノの一面でもあったはずです。

妊娠してもそれを他人事のようにクールに受け流すジュノもまた未熟なティーンそのものでした。

そのためジュノがマークたちの前で大泣きしたのは、彼女がマークの中に自分自身の甘さも見出したからだとも読み取れるのです。

ジュノはマークを通して自分自身のみじめさも実感したのではないでしょうか。

マークに泣き、ポーリーにも泣かされたジュノ

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ジュノの出産直後、同級生であり子供の父親でもあるポーリーは病院に駆けつけます。そしてジュノは彼とベッドに横たわり涙しました。

これはマークの前で流した涙とは極めて対照的なものでした。それは愛にあふれたものだったのです。

そこには子どもが無事に産まれたことの喜びやわが子を手放す哀しみもふくまれていたことでしょう。

しかし、それよりも彼女は出産によってポーリーの愛が確かめられたことが嬉しかったのではないでしょうか。

ジュノはずっとポーリーを邪険にしていましたがそれは愛の反動だといえます。

妊娠したことによってポーリーに振られるのが恐くなり、それを隠すために1人で強がっていたことが読み取れます。

しかし実際ポーリーはずっと彼女を思い続けていました。

出産後のジュノの涙からは愛の成就への喜びと共に、彼女が自身の弱さを受け入れた潔さが感じられます。

ジュノは2人の男に泣かされたことで、より深く自分を知ることができたといえるでしょう。

子どもは手放しましたが、彼女は大人の女性へと大きく飛躍したのです。