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映画「ベティ・ブルー 愛と激情の日々」は1986年公開のフランス映画です。
女優ベアトリス・ダルのデビュー作でもあり、数々の鮮烈な映像美と文芸で瞬く間に大人気作となりました。
フィリップ・ジャンが書いた同名の小説が原作であり、過激に男女が愛し合う様が物凄く強烈だったのです。
2007年には「The 50 greatest Sex Scenes in Cinema」の第6位にランクインもしています。
様々な話題に事欠かない本作の中で今回はゾルグが生き残った理由を中心に考察していきましょう。
また酒の混合は何を示し、ゾルグの部屋に飾られているモナ・リザの絵の意味は何かなども見ていきます。
恋愛映画なのか?
まずいきなり衝撃的な始まりですが、「ベティ・ブルー」は恋愛映画なのでしょうか?
確かにゾルグとベティ、二人の衝動的かつ刹那的な愛の物語になっており、性描写も沢山あります。
しかし、純粋な恋愛映画とするには色々引っかかるものがあるのも事実ですのでそこから見ていきましょう。
ベティの背景設定が謎
まず大きな引っかかりとして、ベティの背景設定並びに人物像の輪郭が謎であるという点です。
劇中随一の過激なまでの行動力・実行力を持ち受け身なゾルグをどんどん引っ張っていきます。
しかし、その上で尚謎なのは彼女が何故ゾルグの為にそこまで行動し彼を愛しているのか?です。
恋愛映画なら少なくともベティがゾルグを愛し、彼に惚れる理由や過程が描かれなければなりません。
果たして、この時点で本作は恋愛映画といえるのでしょうか?
無意識のゾルグ=ベティ
一つ気になるのはベティが良くも悪くもゾルグの代わりに色々なことをしてあげていることです。
ゾルグが他人に頭下げてばかりだとその相手に怒りを露わにしたり、出版社に代わりに小説を持ち込んだり。
これは恐らくゾルグの「本当はこうなったらいいのになあ」を体現しているということではないでしょうか。
方法は幾分掟破りで過激ですが、ゾルグの奥底には本来この位の欲望と衝動性が存在しているのです。
そのゾルグが押し殺している潜在意識を完全に解放して理性を取っ払ったのがベティではないでしょうか。
潜在意識の解放
そうしたベティの姿を見ていく内にゾルグも徐々に己の中に封じ込めていた潜在意識を解放していきます。
ベティの為なら出版社に殴り込みをかけたり、女装して銀行強盗をしたりということを平然とやるのです。
これは彼が社会で働く中で建前で蓋をしていた潜在意識が解放されていく証だといえるでしょう。