登場人物達は何が悪かったのかということではなく、誰が悪いのかという点にしか着目していないようです。
これではいつまで経っても会社の不正はなくならないでしょう。
そしてタイトルを決める際に七つの大罪を意識した可能性は低くないと思われます。
フィクション?
この映画の恐ろしいところはフィクションなのに人ごととは思わせないところではないでしょうか。
もし自分が彼らの立場だったらすぐ会社を辞めるのにと思った人も多いでしょう。しかし本当にできるでしょうか。
パワハラやブラック企業が問題になっている現代で、それらの会社に勤めている人は何万といます。
そして彼らのほとんどが会社を辞められずにいるのです。生きるために働いている人、組織を抜けることに恐怖を感じる人。
もしかしたら通勤電車で自分の隣に座っている人もそんな境遇に立たされているのかもしれません。
そう考えるとこの映画はフィクションという体でありながら、実際は身近なリアルを描いているのだと分かると思います。
そこがこの映画の放つ恐ろしさなのではないでしょうか。
正義とは
会社という組織の中での正義は利益を追求することと考えている人は多いのではないでしょうか。
会社にとって正義とは何か
会社はボランティアで運営されているわけではありません。利益を上げるのは当然ですし、その利益が社員の家庭を守っています。
しかし作中の会社ではパワハラが横行し、何人もの社員を苦しめました。
会社とは利益を上げるために他を犠牲にしても許されるのでしょうか。
生まれる矛盾
利益追求とは時に正義であり、時に悪でもあります。
なぜそんな矛盾が生まれるのかといえば、本当の正義が他のところにあるからです。
会社の正義とは誰かに必要にされること。それに尽きるのではないでしょうか。
必要とされるなら利益は後から勝手に付いてきます。感謝されるからお金がもらえるのです。
では作品で描かれている会社はどうだったでしょうか。明らかに正義を履き違えていました。
人が死ぬ可能性を無視することが正義なはずがない。そんなことが分からないこと自体「組織の闇」なのです。
会社の常識が絶対
会社の常識と世間の常識を天秤にかけた時、世間の常識の方が大切なことは普通なら分かるはずです。
しかし会社の常識を優先した結果、人の命を切り捨てる会社もあることを知っておかなければなりません。