出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B00NBLI1QK/?tag=cinema-notes-22
日本では2014年公開の映画『チョコレートドーナツ』。
全米で数多くの観客賞を受賞するなど、簡単には語れないテーマながら、多くの人の心を動かした作品です。
主人公ルディを演じるアラン・カミングは、自身もバイセクシャルであることを公言しています。
そんなアランが、劇中で心を震わせて歌い上げるシーンは必見。象徴的な選曲にも注目です。
ここでは作品の時代背景にも目を向けながら、ストーリーに込められた想いを解説していきます。
時代設定にも注目 実話に着想を得たストーリー
まずこの話が実話に着想を得ているという点に注目します。
「1970年代のニューヨークのブルックリンでゲイの男性が育児放棄された障害児を育てた」という実話に着想を得て製作された映画である。
引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/チョコレートドーナツ
調べてみると、脚本自体、実際に1970年代の時点でできていたそうです。
作中の描写は、その時代を知る者に書かれたリアルなものであるといえるでしょう。
そんな背景を念頭に置きながらみていきます。
タイトルに込められた意味 英語と日本語で異なる意味を考察
まず気になるのは、英語と日本語でのタイトルの違いです。
『any day now』 自由を求めて
原題は『any day now』。これはルディが最後に歌う、ボブ・ディランの『I shall Be Released』からの引用です。
「いつか解き放たれること」を求めていた内容だというのは、作中で描かれたマイノリティに属する人々の描写を見れば納得です。
この映画を表すのに相応しいタイトルだといえるでしょう。
『チョコレートドーナツ』 家族の愛
では、なぜ日本で公開されるにあたり、タイトルが変更されたのでしょうか。
具体的にチョコレートドーナツが登場するのは、ルディ達三人が、初めて夕食を共に食べる場面でした。
ルディ「夕食にドーナツなんて 体に悪いから」
ポール「たまになら害はないよ」引用:チョコレートドーナツ/配給会社:ビターズ・エンド
健康が心配で食べさせたくないルディ。甘くて好物をあげてしまうポール。まるで子供を思う母と父の家族の会話です。
そしてマルコはおずおずと食べ、ポールににっこり笑いました。
チョコレートドーナツは、三人が家族になったことの象徴なのです。
異なるタイトルから見えてくる二つの意味
このことから考えるに、『チョコレートドーナツ』は家族愛に視点を寄せたタイトルといえるのではないでしょうか。
日本でこの映画が公開されたのは2014年。
欧米と比べると、取り上げられているテーマは日本ではまだ浸透しているとは言い切れなかったかもしれません。
その為、より馴染みやすいアプローチとして、このタイトルになったのではと推察できるのです。
このタイトルの違いから、自由と愛という二つのテーマもはっきりと見えてくるようです。
ルディの歌に込められた想い
今作は全編を通し、ルディの歌が重要な意味を担っています。その意味を追ってみます。
『Come to Me』 自分自身の声で
ショーパブで口パクで歌っていた『Come to Me』。