歌子はそうして結婚する自分をありありと想像しながら、そればかりを願い続け行動しました。
この力によってたとえ一度別れが起きようとも二人は結ばれることになったのでしょう。
歌子と結ばれる=功太という人間の完成
最大の理由は歌子の存在が功太というもぬけの殻になった人間を警察官にしてみせたからでしょう。
歌子が功太の言葉に感じ入り復縁を決めたのは決して単純なスピーチへの感動ではありません。
功太が自分をきっかけに「警察官以外の自分」を持ったことが何よりうれしかったのです。
歌子が功太に望んだことは「自分を大切にすること」であり、それが出来て初めて他者も大切にできます。
単純な男女の愛というものだけでは説明のつかない祝福のカタルシスがここにあるのです。
「PとJK」を通して描かれたもの
一人の不器用な警察官とピュアな女子高生の物語は思いもよらぬ感動を与えました。
単なる男女の愛を超えた物語は我々に何を伝えてくれたのでしょうか?
肩書きではなく内実が大事
日本という国は特に人を職業として、それも肩書といったレッテルで判断しがちです。
しかし、警察官であろうと国のお偉方であろうと不正や不義理を働く不遜な輩は幾らでもいます。
大事なのは「肩書き」ではなく「内実」、即ちどのような思いでその職業に取り組んでいるか?です。
功太はその意味で「肩書き」から解放されそれを「内実」に変えていったのでしょう。
功太の心の救済
功太と歌子を通して描こうとした真のテーマは功太の心の救済=人間再生ではないでしょうか。
ずっと父の死から心の時計が止まっていた功太が歌子との交流でやっと心の時計の針を動かせました。
またそれは自身の命を軽んじていた男が女との出会いで命の重さ・大切さを得る物語だったのです。
故に本作は少女漫画原作でありながら物語の理屈が凄く男らしいヒーローイズムに満ちています。
そこが何よりも本作で描かれたことだったのではないでしょうか。
命とは何か?を考える物語
「PとJK」は少女漫画原作という括りすらも凌駕してしまう物語を創出しました。
単純な恋愛物語というよりは恋愛を通して「命とは何か?」という深い問いに向き合っています。
そこまで突飛な設定や展開はありませんが、だからこそ奥深いテーマの追求が可能となりました。
またそれを演じきった亀梨和也、そして土屋太鳳もまた見事にそのテーマを体現しています。