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北野映画の中でも「芸術」へ振り切った「Dolls」は極めて抽象度の高い映画です。

本作の凄い所は徹底して“語らない”こと…何を表現したいのか最後まで説明してくれません。

しかし、数々の映像美と山本耀司氏が手がけた衣装の美しさには思わず息を呑んでしまいます。

また、無表情な中にも一瞬だけ通じ合うかのような瞬間があり、直後に死が訪れるのです。

モチーフとなっている浄瑠璃と登場人物の関係性を今回はじっくり考察していきましょう。

そして、最後に必ず「死」が訪れる理由、またペンダントの回想シーンの意味にも迫ります。

「見え方」で変化する評価

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「Dolls」は国内外で大きく評価が異なる賛否両論の作品となりました。

日本では否定的な評価だったのですが、ロシアではロングランの人気を誇りました。

これは「見方」より寧ろ「見え方」の問題ではないでしょうか。

日本では恐らく登場人物や物語にどれだけ入り込んで泣かせるかが強いのでしょう。

対してロシアでは山本耀司の衣装をはじめ画面全体が誇る映像美の印象が先立ちます。

そうした「美」の感覚の違いが「見え方」、そして評価の差となるのではないでしょうか。

浄瑠璃と登場人物の関係性

もう少し浄瑠璃を読もう

さて、本作では文楽の「冥途の飛脚」がモチーフとして使われています。

果たしてそれが各登場人物の関係性にどのような影響を及ぼしているのか?

じっくり丁寧に見ていきましょう。

女性達に見る「欠落」

欠落

まず「Dolls」の話は全部で3タイプ用意されています。

縦糸は両親の都合で恋人を裏切り別の人と結婚してしまい後悔した松本と佐和子の物語です。

横糸として元ヤクザの頭と老婆の恋の物語、アイドルとアイドルファンの物語が絡みます。

三つとも共通しているのは愛し合う過程において女性側が欠落を抱えるようになることです。

一人は白痴化し、一人は好きな人の変化に気付かず、もう一人は片目を失明しました。

ここに北野映画の特徴たる「欠落を抱えた女性」という特徴が表現されています。

社会的地位の喪失=人形化

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女性側が欠落により社会的地位を喪失したことで男女が人形化していく構造も見逃せません。

浄瑠璃を見れば判るように、日本人形は社会や世俗から切り離された「純」な物体なのです。

それに近づいていくには自ら社会的地位を喪失し、俗世から切り離される必要があります。

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