最後はエリザベスとジェシーが打ち解け、手を握るシーンで幕を閉じました。
このラストカットからエリザベスのその後もまた一つ気になるところです。
身寄りがないまま暮してきたので、もしかしたらネイサンの養子として入ったかもしれません。
誰よりも彼女が一番運命と戦ったヒロインなので、多少なりこの辺は報われたことでしょう。
少なくとももう一人で居なくていいと安心出来るようになった筈です。
強き女性
エリザベスをはじめとして「サウンド・オブ・サイレンス」は女性陣も強く描かれていました。
エリザベスが精神的に強い女性だとするなら他にはどういう女性が居たのでしょうか?
強き母アギー
肉体的な強さが一番目立った女性はネイサンの妻アギーではないでしょうか。
正当防衛とはいえ、ギブスの中に隠していた短刀で老夫婦を殺害した男を倒していますから。
ここから彼女はもしかして護身術ないし暗殺系の格闘術を身につけていたものと思われます。
娘が人質に取られても欠片もひ弱な一面を見せませんから精神も相当に強いでしょう。
まあ金持ち専門の精神科医となるとそれだけ強くなければいけないのかもしれませんが…。
サンドラ刑事
そしてもう一人、サンドラ刑事も要所要所で犯人に対して一切ひるまない強さを見せました。
特に「銃を捨てろ」とコスター達に向かって声を張り上げるシーンの迫力は、なかなかのものです。
それでいて事件解決後にはジェシーを気遣って安否を尋ねるなど思いやりある一面も見せています。
決して派手ではありませんが、彼女が縁の下の力持ちとして支えてくれたのも大きいでしょう。
心と向き合う物語
「サウンド・オブ・サイレンス」はエリザベスとネイサンを中心に「心」と向き合う物語でした。
どんな逆境でもひるまない精神力、肉親が犯した罪と向き合い昇華していく強さ、欲望に負けない強さ。
娘のジェシーにしたって人質であるにも関わらず勇敢に振る舞い決して弱さを見せませんでした。
本作を通して犯罪とは結局、心の問題であり、自分の欲望や弱さに負けた者が犯罪者になるのです。
その問題としっかり向き合い、エリザベスの救済も兼ねてしっかりまとめあげた良質の作品でした。
世間には余り評価されないものの、隠れた良作ではないでしょうか。