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【白夜行(ネタバレ)】死んだ亮司を「知らない」と一蹴した心理を解説!雪穂の闇と亮司の闇の違いは?亮司にとって白夜とは

出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B07S63X31Y/cinema-notes-22

第61回ベルリン国際映画祭・パノラマ部門正式出品作品であるこの【白夜行】は、山田孝之×綾瀬はるかでドラマ化し話題となりました。

2010年には、東野圭吾原作の小説の売れ行きは200万部を超え、舞台化や韓国でも映画化されています。

幼少期に起きた悲惨な事件をおさらい

事件のきっかけは雪穂の母だった?

白夜行
ある日質屋の主人である亮司の父・洋介がほぼ密室の環境で殺害されました。

殺害された日に、西本家を訪れたことが分かり、雪穂の母・文代との不倫関係が疑われていました。

しかし文代には別の恋人がいて、捜査中に、文代も恋人も死んでしまったことで事件の捜査は難航していました。

なぜ西本家に桐原父が購入したハーモニーの袋があるのか、なんのために訪れたのかが当時判明することはありませんでした

太陽の下を胸を張って歩けなくなったしまった二人

この桐原父の殺害事件は、息子の亮司によって行われたものでした。

亮司の父として過ごしていた洋介でしたが、性癖が偏っており小児性愛者で、当時10歳だった雪穂に性的暴行を行っていました。

雪穂とは児童施設を通じて仲良くなっていた亮司が目撃し、その場で犯行を犯します

犯人を、雪穂の母・文代とその恋人である寺崎に仕立て上げるために、10歳という若さで二人は計三人の大人の命を奪うのでした。

小学生のまだ世の中もよく知らない歳で、亮司と雪穂は、隠れるようにひっそりと暮らしていくことを決意しました。

死んだ亮司を「知らない」と一蹴した心理を解説!

同じ事件を通して、別々の白夜を歩んだ二人

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亮司と雪穂は三人もの殺人を犯したことで、自分たちが友人関係だと知られないように過ごすしかありませんでした。

それぞれが知り合いではないふりをしてそれぞれが別の人生を歩んでいきます

しかし、二人とも共通していたことは他人のことを心から信用できず、純粋で綺麗な感情は欠落していたということです。

美男美女に成長した二人ですが、腹の中はドス黒く、心を入れ替えてまっとうな人生を歩むことは出来ませんでした。

小学生の二人が犯した罪は重く、心に大きな傷をつけていたのです。

親しかったという痕跡を残すことは出来ない

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共に殺人を犯した二人には、友人関係・恋愛関係などと一言で表すことのできないような心の深い所での繋がりがありました。

亮司が自殺した際には、近くには笹塚刑事がいて捜査の手が自分たち二人に伸びてきたことを悟り、死を選んだのです。

なぜ亮司が自ら命を絶ったのか、自分が捕まると芋づる方式に雪穂にも捜査の手が及ぶことが容易に想像できたからでしょう。

深い絆で結ばれている二人は、お互いを守る為だったらどんなことだってできるのです。

雪穂を守るため自ら死を選んだ姿を見て、その亮司の意図を汲み取り「知らない」と言い、その場を後にしたのだと考えられます。

雪穂の闇と亮司の闇の違いは?

雪穂が歩んだ闇の世界

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雪穂は実母である文代を亮司と共に殺害した後は、養子へと入ります。

新しく雪穂を迎えてくれた唐沢の義母は厳しくしつけをしながらも雪穂をしっかりとした礼儀正しいお嬢様へと育て上げます。

他の作品についてのインタビューで、原作者の東野圭吾は自分が描く女性像について言及しています。

「男にとっての”究極の女”を想像してみたい。女性には強く、したたかであってほしい。

とことん自分の為に生きる、自分さえよければいいくらいに頑張ってくれた方が『つえーなぁ』と思う」

このように話しており、雪穂もまた、作者にとっての理想であり、究極の女性像なのでしょう。

自分が気に入らない周囲の女性に対しては、亮司を利用し、強姦させたりと悪行を働きます。

普段の美しく凛とした姿からは想像がつかない程、心の中は荒んでいるのです。

亮司が過ごす闇の世界

亮司は中学卒業と同時に、家を出て一人暮らしをしています。母親にも自分の居場所も近況も教えていないのです。

当時、高校生ながらに仲間たちと共に身売りをしてお金を稼いでいます

身売りをしていた時、一人の女性と出会い同棲を始めますが、亮司の中には愛情などなく、利用するための同棲だったと言えるでしょう。

その女性に小説を書くと伝え、もし人を確実に殺すならどんな毒薬を使うのかを尋ねました。

青酸カリと聞いた亮司は、その青酸カリを使用して、自分を幼少時から疑い続ける笹垣を殺害しようと目論みます

笹垣は違和感に気付き死を免れましたが、ニュースを見た彼女は、亮司の犯行だと分かってしまいます。

自ら青酸カリ入りのワインを飲み自殺してしまいました。笹垣を殺そうとした犯人は彼女ということになってしまったのです。

また、亮司は密かに雪穂と連絡を取っており、雪穂周辺で多発したレイプ事件の犯人でもあるのです。

ドラマ版と映画版はどう異なる?

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映画とドラマ、それぞれに違いがありそれぞれが評価されている【白夜行】ですが、何点か異なる部分が見受けられます。

  • 笹垣は結婚しており、子どもを白血病で亡くす
  • 映画では雪穂中心、ドラマでは亮司中心
  • 雪穂は映画では結婚する
  • 亮司の母は死なない

ドラマ版は山田孝之演じる亮司を中心に描かれていましたが、映画では堀北真希演じる雪穂を中心に話が進みます。

なので、ドラマの中ではアルコール中毒で亡くなった母親も活きていますし、松浦の存在もそこまで大きく描かれていません。

しかし、雪穂は映画では、ダンス部の部長と半ば強引な形で恋仲になり、結婚までするのです。

これも、部長と交際していた江利子に対して嫉妬し、強姦してその地位を手に入れたものでした。

笹垣の子どもが白血病のために亡くなってしまう描写をつけたのは、後の展開に向けたものだったのでしょう。

成長した亮司たちのことを子どものように思い、一緒に暮らすことを提案するまでの伏線のように感じます。

他にも、異なる点はありますが、ドラマはドラマ、映画は映画と別のものとして観た方が楽しめるかもしれません。

亮司にとって白夜とは

【映画パンフレット】 『白夜行』 出演:堀北真希.高良健吾.姜暢雄

親の殺害をしてしまってから、堂々と太陽の下を歩けなくなってしまった2人ですが、強い絆で結ばれていました。

歪んだ形ではありましたが、お互いに相手の幸せを願っていたのです。

雪穂の幸せを願い、遠くから見守っていた亮司は、雪穂の周囲の災いとなる人物を次々と排除していきました。

雪穂にとって、たとえ真夜中であろうと太陽以上に闇を照らして明るくしてくれる存在が亮司でした。

亮司にとっても同じ過ちを犯した雪穂だけが、真っ暗な闇の中を生きていく太陽で、闇の中を生きていく光となっていたことでしょう。

雪穂と亮司の間に愛は存在したのか?

常に雪穂の周りには亮司の影がチラついていた

白夜行

成長していく過程で、亮司よりも雪穂の方が辛い思いをたくさんし、ひどく心が壊れていました。

学校でもいじめられてはいませんでしたが、親が人殺しをしたとか、養子で元々貧乏だったなどという噂も流されていました。

そんな状況にいた雪穂を救うために、亮司も様々な形で雪穂に手を差し伸べています。

すると、最終的には亮司の方が自殺をして心が壊れていたのだということが見て取れます。

愛情という感情が二人から抜け落ちていた可能性もあります。

元々二人とも小学生のころから親の愛情は、周囲に比べてもあまり受けずに成長しています。

これから成長をしていくという過程で事件が起きてしまったので、二人は運命共同体ですが、愛情ではなかったのかもしれません。

心の傷が癒えることも和らぐこともない二人

真っ暗な世界でも、お互いにお互いがいたからこそ生きてこれたハズです。

しかし、その運命共同体の二人は事件が起きた時、自分たちが犯人だということを隠すだけでは済みませんでした。

雪穂の母親に罪をなすりつけ、さらに自分たちの罪を重ねるように、殺人をしてしまいます。

そのことに気付く大人もいなければ、もちろん注意する大人もいません。

二人ともしっかりしてる子どもでしたが、子どもの内に犯した罪を放置し、悪さをしても心を痛めない大人へと成長していきます。

きっかけは雪穂の母・文代が、雪穂を売ってお金を稼いでいたことや、亮司の父・洋介が雪穂を買って性的暴行をしていたことです。

親たちのしていたことは犯罪で、決して許されることではありません。

子どもたちに忘れることのない大きな傷とトラウマを植え付け、殺しを働かせるほどの感情を引き起こしました。

亮司や雪穂は自分たちがしたことは、何かは分かっていても自分が捕まるというビジョンは一切見えていなかったのかもしれません。

亮司が自殺してしまったことで、これからは雪穂一人がこの大きな傷を抱えて闇の中で生きていくのです。