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スパイ映画の金字塔たる『007』シリーズの2作目に当たるのが本作「ロシアより愛をこめて」です。
数あるシリーズの中でも特に有名な一作で、様々な形で影響を与え続けています。
日本ではPSPやPS2で本作のゲーム版も出てますし、「ルパン三世」でも同タイトルの作品があるのです。
ショーン・コネリーの演技力もあって、多くの人が想像する「007」のイメージそのものを集約しています。
そんな本作ですが、今回はスペクターがレクターをソ連に戻す理由を考察していきます。
また、グレップを撃ったタチアナの心情についても細かく見ていきましょう。
冷戦という時代背景
「ロシアより愛をこめて」からも判るように本作の舞台は冷戦時代のロシア(ソ連)です。
本作の話を理解する上でまずどのような時代背景があるのかを押さえておきましょう。
スペクターの強大さ
まず特筆すべきは何よりも強大さの象徴として立ち現れるスペクターでありましょう。
スペクターとは正式名称「敵情報、テロ、復讐、強要のための特別機関」の頭文字を取った名前です。
前作でも登場した組織なのですが、その全貌を露わにし強大さを見せつけたのは本作からでした。
レクターを巡って繰り出される知略・謀略もさることながら悪役もしっかりキャラ立ちしています。
それ位強い敵だからこそジェイムス・ボンドとしても挑み甲斐があるというものでしょう。
当時のソ連(ロシア)は兎に角アメリカと並んで強大な存在であり、その象徴がスペクターなのです。
亡命諜報員タチアナ
そしてもう一つ、シリーズの伝統となっていくボンドガール・タチアナがソ連の亡命諜報員です。
彼女はボンドを抹殺する為にソ連側から派遣されたスパイでありました。
非常に可愛らしい見た目の中にも気品溢れるスマートな女性の振るまいがあります。
歴代の中でも屈指の人気を誇るタチアナですが、元々は敵側の人間なのです。
こうした油断できないボンドガールの存在もまた冷戦時代ならではの駆け引きでしょう。
スペクター作戦の意図
「ロシアより愛を込めて」では亡命諜報員タチアナの他に新型暗号解読機レクターも餌にしました。
果たしてそこにはどのような作戦意図があったのでしょうか?
二段構えの復讐
新型暗号解読機レクターと亡命諜報員タチアナ、二つを用いての作戦意図は二段構えの復讐です。
一つがボンドを女で骨抜きにして油断・隙を生じさせること、もう一つがドクター・ノオの仇です。
非常に残忍でその執念は見事ですが、やっていることが余りにも下策過ぎます。