絵をよく見てみると、中川に対する好意と想いが見えてきます。
唯一生きている中川
絵の中心を見ると、中川らしき人物がいます。
その中川らしき人物の周りは、頭に矢が刺さったり、首が飛んだりしており中心の人物以外は死んでいる様子です。
これはキタノが中川に対して「生き残っていて欲しい」という想いを表した絵だと言えるでしょう。
また絵を描くにしても、あれほどの絵であればそれなりに描く時間が必要です。
つまりキタノの構想の中には中川が生き残る道が常にあり、そうなってほしい、あるいはそうなるようにキタノが仕向けていると考えられます。
絵の中川に唯一つけられているもの
キタノが描いた絵を見ると、中川らしき中心人物の首にこのゲームの象徴でもある首輪がつけられています。
しかもその首輪がつけられているのは、中川だけです。
また本来の首輪の真ん中には爆弾がありますが、絵の首輪には真ん中にハートがありました。
首輪は本来、主従関係を表していることから、キタノは「中川を自分の意のままにしたい(好意)」という想いの現れと考えられます。
好意はありつつも、キタノの想いは現実的ではありません。だからこそ、キタノは中川と七原に想いを託しました。
それが「ガンバレ」です。
本作で意味する「ガンバレ」
七原の父親が自殺した際、首に巻き付けられたトイレットペーパーには、七原に対する応援メッセージが書かれていました。
そしてキタノが七原に撃たれる直前、キタノは中川にこのような言葉で迫ります。
中川、頑張れ。中川、ガンバレ。どうした。撃たなきゃ撃っちゃうよ
引用:バトル・ロワイアル/配給会社:東映
七原の父親とキタノのその後の状況から考えると「ガンバレ」を言った、直後に自ら死を選んでいます。
実際にキタノは本物の銃を持っていたにも関わらず、中川に向けた銃は水鉄砲でした。
このことから、大人が子どもに対して言う「ガンバレ」は、自分は死ぬからあとは任せた、という想いを託すシーンだと考えられます。
キタノは中川に対する想いが、現実的でないために中川に脅しをかけ、七原に射殺されることを誘発するのです。
慶子の笑顔の真相
川田の恋人であった慶子は、川田の手によって殺されます。そのはずなのに、最後の笑顔に川田はその意味を理解することができません。
川田自身が死ぬときになって、初めて川田はその意味を理解しますが、一体何を理解したのでしょうか。
女性としての目線
七原と常に行動を共にし、宣言はしないにしても好きな男子と一緒にいる中川は、慶子の心を理解します。
それは診療所で語られました。
あたしが慶子さんだったら川田さんを信じたいし、そんな笑顔をくれた川田さんに、やっぱりありがとうって言ったと思う
引用:バトル・ロワイアル/配給会社:東映
このセリフから、慶子は川田のことを撃ったがそれは慶子の本心でないことが分かります。
状況としてはタイムオーバーで二人とも死ぬのに残り数秒というところ。
このままでは二人とも死ぬので、川田に引き金を引かせるため、川田を慶子は撃つのです。
でも本当は好きでたまらない。だからこそ、川田に対して(良い関係でいてくれて)ありがとうと言って、笑うのでした。
良い人と巡り合う
川田は死の直前で慶子の笑顔の意味を理解します。
お前らに会えて、慶子の笑顔今ようやく意味が解けた。あいつが残した言葉や、ありがとう、最後に(ええ友達ができて良かった)
引用:バトル・ロワイアル/配給会社:東映
川田が慶子の笑顔を理解した直後、二人と良い関係を築けたことに感謝します。
川田と慶子に共通することは、「良い人と巡り合えた」ということ。
川田も慶子も、死の直前に看取ってくれる人が「良い人」でありがたいということを感じます。