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宮崎駿監督の代表作と表現しても過言ではないほど日本国内だけでなく、世界中から注目された作品の1つが『千と千尋の神隠し』です!
世界でもさまざまな賞を受賞し、高い評価を受けている作品は今もなお老若男女問わずに愛され続けています。
今回は日本国内のみならず世界でも鑑賞され続けているこの映画の魅力をじっくりとご紹介しましょう!
『千と千尋の神隠し』のあまり知られてない秘密
まずは『千と千尋の神隠し』の謎に迫る前に知っておきたいトリビアをご紹介します。「何度も鑑賞している」という人も情報を目にすると新たな発見があるかもしれません!
『千と千尋の神隠し』の誕生秘話
宮崎駿監督は、普段の生活においても知人のお子さんたちを「小さな友人」と慕って交流を大切にしているそうです。
そんな背景から、本作品は主人公である千尋と同世代の「小さな友人」たちに贈るために制作されました。
作品には「大丈夫、あなたはちゃんとやっていけるよ」という本気のメッセージが込められていると監督も説明しています。
他にも監督は厳しさの中にも美しさが広がる描写とともに「この世界がどれほど豊かで、多くの可能性があるかを描きたかった」と作品誕生の背景を語っています。
「小さな友人」たちのための作品
宮崎駿監督は『千と千尋の神隠し』を「小さな友人」に喜んでもらえるように、主人公である千尋を彼らと同世代のどこにでもいるようなごく普通の女の子としてデザインしています。
そのため作品では、よりリアルな子どもの反応や思想が伝わり、臨場感あふれる描写で千尋をはじめとするキャラクターに親近感がわいてきます。
油屋のデザインモデル
千尋の冒険の舞台の1つとして日本文化を分かりやすく凝縮したようなデザインの湯屋である「油屋」が描かれています。
実はこの「油屋」は、道後温泉本館、渋温泉金具屋、四万温泉積善館(群馬県)、旅館・鬼怒川「あさや」など日本に実在する温泉宿、日光東照宮など宮崎駿監督が訪れた建築物がモデルとされているのです。
そのため、作品中では油屋は独創的かつ印象的なデザインに仕上げられ、温泉や日本の建築物・美術の美しさだけでなく、おもてなしや食事までもリアルに描かれています。
湯屋は風俗店?
作品の中で千尋は「湯女」として「油屋」で働くことになります。しかし、この「湯女」というのは実は遊女という意味があるのです。
「小さな友人」たちのための作品は、風俗産業を舞台に描かれているという衝撃的な秘密が含まれています!
しかし、宮崎駿監督が「小さな友人」たちのための作品にあえてこの舞台を選んだ理由を探ってみると非常に難題な現実問題を訴えていることに気付きます。
悲しいことに世界中で学校に行けずに就労している子どもたちもいれば、貧困問題から逃れらずに生きる手段として誤った道へと進むしかない子どもたちもいます。
厳しくも美しく愛のあふれるかたちで千尋が成長していくストーリーの背景には、大人たちが取り組まなければならない世界的な社会問題が訴えられているのです。
トンネルの正体は?
千尋たちは森の中にあるトンネルを抜けたことにより油屋の世界に辿り着きました。トンネルというと子供の時には結構怖いイメージを持っていた方も多いのではないでしょうか?
現実世界と銭湯にゆっくりしている八百万の神々の世界をつなぐトンネルですが、千尋がくぐる時の行きと帰りでトンネルの色が違っています。
冒頭で建築関係の仕事をしている千尋の父が、トンネルは「モルタル製」だと話すシーンがありましたが、帰りのトンネルを見ると石造りになっていることが分かります。
トンネルが変わってしまったのでしょうか。
このトンネルには行きは特別な魔法がかけられており、違う見え方をしていたのだと考えられます。
つまり帰りは元のトンネルに戻っており、戻ろうとしても戻れない状態にあったということです。
ハクが千尋に言ったようにトンネルを抜けるまでは振り向いてはいけないというのは、この魔法が関係しているわけではなく、純粋に千尋には自分を信じてこれからの人生を歩んでいってほしいというメッセージと解釈できます。
物語に潜む多数の謎
この物語は主人公は10歳のどこにでもいる「ごく普通の女の子」である「千尋」が引っ越しの途中で、不思議な世界に迷い込んでしまうことからはじまります。
『千と千尋の神隠し』のストーリーは神々を癒す湯屋が舞台で、さまざまな出来事や仲間との関わりを通して頼りなかった千尋が大きく成長していくストーリーです。
現代っ子の「千尋」をヒロインとして、ハク、釜爺、湯婆婆、リン、カオナシ、銭婆婆をはじめとする個性豊かなキャラクターが登場しています。
この映画を鑑賞すると「あれ(表現)はどういう意味?」「どうしてこのように描写されたの?」と疑問に感じる場面も多くあります。
こちらでは数ある「物語に潜む多数の謎」の中から、今回は「ハク」と「カオナシ」に焦点を絞って謎と込められたメッセージについて迫っていきましょう。
きっとこれを理解できれば作品をより深く楽しめるに違いありません!
「ハク」
ハクは千尋が不思議な世界に迷い込んでしまう作品の冒頭から、何も分からずに怯える千尋の力になる謎めいた少年です。
こちらでは、謎に包まれた少年「ハク」に込められたメッセージについての考察をご紹介しましょう!
「ハク」のキャラクター
魔法使いの見習いとして湯婆婆の弟子という立場で湯屋の番頭として帳場を預かって油屋で働き、湯婆場にとっても重要な存在として描かれています。
対照的な顔をもつ
ハクは「千尋を助ける心優しい少年」と「湯婆婆の手先として人を寄せつけない冷淡な番頭」として対照的な顔をもつのが大きな特徴です。
そんなハクは作品の中盤からは「白龍の姿」でも登場し、作品を通して多くの謎を秘めながら重要な役割を担う存在として描かれています。
はじめて『千と千尋の神隠し』を鑑賞したときには「どうして”白龍”?」と思われた人もいるかもしれません。
次章では、その謎に迫ってみましょう!
「ハク」も名前を取り上げられていた
白龍としての姿ももつ「ハク」も実は千尋と同様に湯婆婆との契約で名前を取り上げられ、自分の名前もすっかり忘れてしまったことが作品の中でも明らかになっています。
「ハク」の正体
千尋は小さな頃、川に落ちた時に助けられたという出来事を母から聞いたことを思い出します。