そこにしか彼の居場所がなく、もし嫌われたり拒絶されたらと思うと不安だったのだと思われます。
特殊な力を持っていようとなかろうと、家族がかけがえのない存在であることには違いないのです。
親への不信感
ブランドンの居場所は家族ですから、特に両親は殺したくなかったはずです。
しかし自分を背後から狙うカイルに失望し、親を信じられなくなったと思われます。その失望はトーリにも向けられました。
ハグした時にトーリが隠していた殺意を彼が見抜いたのは、カイルの件で親へ不信感を持っていたからなのではないでしょうか。
もしカイルからの襲撃が無かったら、トーリが宇宙船の欠片でブランドンを殺せた可能性はあります。
正しい事とは
ブランドン自身も本当は人殺しではなく正しい事をしたいと思っていました。彼のいう「正しい事」とは何なのでしょうか。
スーパーマンとの対比
超人的な力を持つ存在といえば、やはりスーパーマンを思い出す人が多いのではないでしょうか。
この作品もブランドンとスーパーマンの共通点が多く描かれており、2人の対比が効果的になされています。
例えば宇宙からやって来て人間に育てられる点や納屋に秘密が隠されているなどです。
そんなにも多くの共通点を持ちながら、彼らは真逆の存在。スーパーマンは人を助け、ブランドンは人を殺すのです。
同じ特殊な力を持っていたら、やはりスーパーマンのように人のために何かしたいと思うのは当然です。
そしてそう思えるブランドンの心は悪に染まっていないという証拠にもなります。
意思に背いた力
ブランドン自身、正しい事をしたいと願っていることが分かりました。本当は自分の力を人助けに使いたいと思っていたようです。
ですがその意思に背いて、彼の力は人々に死しかもたらしません。
宇宙船からの「奪え」という指令は、彼の意思ではなく本能に働きかけ、心と体の分裂が彼の葛藤を生んだのでしょう。
それはまるで大人と子供を行き来している反抗期の様子そのもの。
つまり彼にとっての「正しい事」とは、「親が喜ぶような良い子になる事」とも解釈できます。
ケイトリンへの想い
カイルのアドバイス通りケイトリンの部屋に訪れたブランドン。そこで予想外の反応を受け、彼の心は壊れてしまいました。
この出来事はブランドンにどのような感情をもたらしたのでしょうか。
軽蔑の眼差し
ケイトリンの部屋に侵入した一件で、彼女はブランドンを気持ち悪く思うようになりました。
そんなケイトリンの態度に対してブランドンが抱いた感情は恥ずかしさだったのではないでしょうか。
当然怒りはありましたが、それよりも恥ずかしさが勝っていたように見えます。
それはまるでラブレターを渡した直後に女子から避けられ始めた男子のように、ブランドンの心は激しく揺さぶられたのです。