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【小さな恋のメロディ】はイギリス映画ですが、本国のイギリスやアメリカではそれほど話題になりませんでした。
ところが日本で公開されると大ヒットとなり、何度もリバイバル上映された作品です。
当時日本はその後日本のカルチャーをリードすることになるアイドル文化が芽生えた時期でした。
【小さな恋のメロディ】はマーク・レスター、トレーシー・ハイド、ジャック・ワイルドという日本人好みのアイドル的な子役が印象的な作品です。
このことが日本における大ヒットの要因の一つといえます。
また映画の中で使われているビージーズの挿入曲が物語のストーリーとマッチしており、少し前に日本でヒットした映画【卒業】との共通点もあったかも知れません。
ダニエルとメロディが結婚を宣言した理由
この作品を盛り上げたのは何といってもダニエルとメロディの結婚です。
ダニエルがメロディに突如持ち出した「僕たち結婚しよう」が仲間や大人たちを巻き込み、一気に物語を盛り上げていきます。
ダニエルとメロディにとって結婚とは何を意味したのでしょうか。
仲間の子供たちや大人たちはそれをどのように受け止めたのか含めて考察してみましょう。
彼らにとっての結婚とは
メロディは両親に「好きな人と一緒にいたいだけなのに、なぜ幸せになってはいけないのか」と問いかけます。
両親は「早すぎるから」と返しますが、メロディは納得できません。
このシーンにダニエルとメロディが結婚をどう考えていたかが集約されています。
彼らは一緒にいたかっただけなのです。それを結婚という形にしたかったのでした。
様々な虚飾を剥ぎ取れば結婚とは本来そういうことかも知れません。「好きな人と一緒にいたい」そのために結婚するのです。
大人たちの立場
当然大人たちには理解できません。大人たちは結婚とはもっと様々なことが絡む大事件だと考えています。
ダニエルとメロディは日本でいえば小学校の高学年で、思春期に入る年頃です。
大人たちは二人に性的なものを意識せざるを得ません。大人たちは二人を子供扱いしながら、実は性的な関係を邪推しています。
学友たちはどう受け止めたか
二人が結婚することを言い交わしたことはすぐ学友たちの知るところとなります。
学友たちにとってはダニエルとメロディの結婚はさほど深刻なことではありませんでした。チョットした遊びの延長程度の受け止め方だったのです。
しかし、ダニエルとメロディが学校の授業をエスケープして海岸に遊びに行く事件が起きたあたりから学友たちの意識は変わっていきます。
二人の結婚がこれまで一方的に押しつけられてきた先生たちの権威に対する反抗の象徴的な意味合いを持ってくるのです。
子供たちによる結婚式
学友たちのお膳立てによって二人は子供たちだけの結婚式をあげることになります。
これを単に子供たちの「おままごと」と大人の価値観で片付けてしまっていいのでしょうか。
子供たちは子供たちなりに深刻な思いがあったに違いありません。
なぜ開くことになったのか
当初学友たちは二人の結婚をからかいの対象にしていました。
誰しも経験があるはずですが、この頃の子供にとっては毎日がワンダーランドです。
何でも楽しみの対象にすることができます。ダニエルとメロディの結婚の話もそのような面白いイベントの一つでした。