エントランスのオブジェに突き刺さったベッドマットも、屋上のドアが中からしか開かないことも全てのバカ騒ぎがここで繋がります。
このセリフはドラッグを常用している売人でなければ発せない言葉ですから全ては必然ということです。
タイソン邸の防犯カメラでホテルに帰るまでダグは一緒だったことが判明しています。
となるとダグはホテルの中です。
そして黒いダグが発した『ルーフ(屋上)』が全ての謎を解き明かしました。
白と黒のダグを登場させた理由
今にも干からびそうなほど黒く日焼けした状態で救出されたダグのポケットには8万ドルが入っていました。
観客が心の中で考えていた『ホテルへの補償金はどうするのか』という心配さえ回収してくれます。
黒いダグのヒントで助かった白いダグが日焼けで黒いダグになっていたというオチです。
なぜ日陰を探して移動すれば良いのにしていなかったのでしょうか。
ダグはとんでもないほどの二日酔い『Hangover』で動けなかったのです。
映画の題名『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』まで伏線だったのかもしれません。
キャストが成功の鍵
コメディー作品はハチャメチャなだけのものも多いですが本作はキャストがそれを助けています。
絶妙なトリオとプラスワン
冷静な遊び人でイケメン教師フィルを演じているのはブラッドリー・クーパーです。
『セックス・アンド・ザ・シティー』でデビューし、本作でブレイクしました。
ちょっと見栄っ張りですが真面目な歯科医のスチュを演じているのはエド・ヘルムズです。
テレビや映画に引っ張りだこのコメディアンで本作でも俊逸な演技を披露しています。
変わり者のアランはザック・ガリフィアナキスです。
本作で俳優デビューをした彼は『MTVムービー・アワード』で最優秀コメディ・パフォーマンス賞を受賞しました。
この3人が探すことになる親友のダグを演じたのはジャスティン・バーサです。
映画『アナライズ・ミー』などでスタッフとして従事したのち、短編映画で俳優デビューしました。
フィルが結婚式を挙げた式場で「サルみたいなチビ」と言われますが、アランよりは大きい173cmです。
このトリオとダグのバランスが絶妙でした。配役が決まった時点で映画の成功は約束されたと言っても過言ではないでしょう。
意外なキャスト
レスリー・チャウ役の韓国系アメリカ人俳優ケン・チョンは東洋人らしい表情とエキセントリックな演技で楽しませてくれました。
全裸も披露した彼は病院にも勤務していたれっきとした医師で奥様もお医者さんというのには驚きます。
そのレスリーの子分役で出演していたイアン・アンソニー・デイルは日米ハーフの俳優です。
『HAWAII FIVE-0』のアダム・ノシムリ役の印象が強いので、本作を観たとき驚いた方も多いでしょう。
言うまでもなくマイク・タイソンは最強のボクシング世界チャンピオンですが、コメディー映画に本人役で出るとは意外でしたね。
エンディングで失われた記憶を移したカメラの中身が映し出されるのも粋な収め方でした。
謎は解けたけど、いったいどんなことをやっていたのかという欲求を解消させてくれるからです。