勝負の最後が濁流で流されたのも、人間・ワニどちらの家族にも負けをつけないように配慮されたからかもしれません。
立場の逆転
ワニとの死闘で、デイブはヘイリーに守られることとなりました。
これまでは親であるデイブがヘイリーを守る立場だったのに、それが逆転したのです。
親にとってみれば子供はいつまでも子供ですが、親が気づかぬ間に子供は立派になっているもの。
父と娘の関係はワニとの闘いによって、再構築されたと思われます。
人間の無力さ
ハリケーンによる浸水から始まり、濁流で幕を閉じる本作では、人間の無力さが際立っているように見えます。
人間vsワニだけで終わらせていいのでしょうか。
自然には勝てない
ハリケーンにより、ワニが地下室に侵入したのは自然災害と位置付けていいかもしれません。
そういう意味で、ヘイリー達は自然からの襲撃に遭ったといえるのではないでしょうか。
一方、最後にワニに勝利できたのもワニが濁流に流されたお陰であり、人間の力ではありません。
人間の力で勝敗が決まらないというラストの描き方によって、自然に対していかに人間が無力であるかを痛感させられます。
ワニの侵入は人災
ハリケーンは台風と同じで、温められた海水が水蒸気になって発生します。
海水の温度が高ければ高いほど多くの雲が出来上がり、巨大なハリケーンになるのです。
作中で襲来したハリケーンもこの現象によるものだということも頭に入れておいた方がいいでしょう。
つまりハリケーンが家を浸水させるのも人間の撒いた種であり、その結果が私達人間を苦しめているのです。
そう考えるとワニがデイブの家に侵入したのも、ワニばかりに責任を押し付けられません。
私達が自然とどう接していくべきなのかを問う一面もこの映画にはあるのではないでしょうか。
まとめ
ワニと人間が互角に戦えた要因やワニがヘイリー達を執拗に襲う理由は、どちらも「家族」に通じるものでした。
迫りくる水位上昇とワニの恐怖を描いたホラー作品ではありますが、ワニも人間も家族を守るために戦っていたのです。
そして彼らの死闘の原因も結果も、全て「自然」が基となっていたことも忘れてはいけません。
人間を含め動物は自然の中で生かされている存在です。
自然とどう向き合っていくかを考えさせてくれる映画なのではないでしょうか。