注目キーワード
  1. 映画
  2. シネマ
  3. 洋画
  4. 邦画

【グレムリン(ネタバレ)】ギズモとの別れが意味しているものを考える!モグワイのグレムリンへの変化が象徴するものとは?

出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B00ZI9B9N0/cinema-notes-22

グレムリンは1984年に制作されたホラーコメディ。監督はジョー・ダンテ、制作総指揮は巨匠スティーブン・スピルバーグの名作映画です。

グレムリンはホーム・アローンなどの監督で有名なクリス・コロンバスが、大学生時代にハリウッドへ本作の脚本を持ち込んだことがキッカケで制作されました。

持ち込んだ脚本がスピルバーグの目にとまり映画化されることになったのです。

当初ダークホラーだったグレムリンの脚本は、スピルバーグとジョー・ダンテの手により寓話的なホラーコメディへ路線変更されました。

ここに一風変わったグレムリンという映画が完成しました。

本記事ではギズモとの別れの意味やモグワイのグレムリンへの変化が象徴するものなど、グレムリンが寓話として何を訴えたいのかというところを中心として、作品を解説したいと思います。

 モグワイとグレムリン

本作の寓話としての意味も気になるところですが、本作に登場するモグワイとグレムリンとは一体何なのでしょうか。

まずモグワイとグレムリンについて解説します。

モグワイとは?

グレムリン コレクションドール(毛玉付き)ギズモ

モグワイは人の素直さや純粋さを体現した善良な存在です。

グロテスクな描写の多い本作において、温かさを感じさせるモグワイのキャラクターは劇中で際立っていました。

モグワイは広東語で妖怪という意味で、漢字では『魔怪』と書きます。その愛くるしい見た目から妖怪らしさは全く感じられません。

モグワイはCGが普及していない当時、パペットというぬいぐるみで表現されていました。

ぬいぐるみによる動きには温かみや優しさが感じられ、モグワイというキャラクターを表現するのにはピッタリでした。

モグワイは地球外生命体という設定

グレムリン

モグワイはノベライズでは地球外生命体という設定でした。

宇宙の彼方にある高度な文明を持つ惑星で、モグターメンという科学者により、どんな環境にも適応して繁殖できる知的生物モグワイが創造されます。

このモグワイが実験として地球に送り込まれた、という驚きの設定です。

夜中にものを食べると凶暴なグレムリンになる、日の光に当たると死んでしまうというあたり、モグワイはかなりいい加減な設計を基に創造された生物のようにも見受けられます。

ですがそこはご愛嬌といったところでしょう。

グレムリンとは古い機械などに住み着く妖怪

グレムリンめ。知ってるか。外国製の車にはみんなグレムリンが仕込んであるんだぜ。先の大戦で飛行機が墜落したのもそのせいよ。

引用:グレムリン/配給会社:ワーナー・ブラザース

ドリーのパブから出てくる酔っぱらいの農夫ファッターマンが、ビリーとケイトに言い放ったセリフです。

グレムリンというのは民間伝承に登場するゴブリンなどと同じ類、いうなれば妖怪です。古い機械などに住み着く妖怪とされています。

グレムリンという言葉は第二次世界大戦中に英米の空軍パイロットの間で広まりました。

当時パイロット達は飛行機の機器に不具合が生じると、グレムリンの仕業と噂していました。

この噂が広まる形でグレムリンという言葉が浸透していったといいます。

劇中に登場するグレムリンは、人間の欲望や身勝手さを体現する邪悪な存在です。

善良なモグワイが邪悪なグレムリンに

善良なモグワイに欲望を加えると邪悪なグレムリンになります。ここでは、そのプロセスを見てみましょう。

 水を与えると増殖するモグワイは打ち出の小槌

九谷焼 縁起置物 打ち出の小槌 10号 デコ盛

水をかけるだけでモグワイは無限に増殖しますが、これは打ち出の小槌のようでもあります。

主人公ビリーの父ランダルは増殖した5匹のモグワイを見て、こう言います。

新発売。ペルツァーペットだ。こりゃあ売り出せばでかい商売になるかもな。

引用:グレムリン/配給会社:ワーナー・ブラザース

このランダルのふとしたセリフに、商売人としての欲がにじみ出ています。

ランダルは『ギズモ(新製品)』の名付け親でもあり、なんでも商品に見立てているような節があります。

増殖したモグワイ達には、ギズモにあった素直さや純粋さが欠けています。

それはまるで不良モグワイといったところです。人間の欲に触れるとモグワイは邪悪さを増すのかもしれません。

善良なモグワイに食欲を加えるとグレムリンになる

グレムリン グレムリン アルティメット アクションフィギュア

ビリーは誤って午前0時を過ぎてから不良モグワイにエサを与えてしまいます。真夜中にエサを与えられた不良モグワイはさなぎとなり、やがてグレムリンに変態します。

不良モグワイは貪るような食欲を得てグレムリンとなり、己の欲望のままに突っ走る人間のような存在に変わってしまいます。

不良モグワイをさらにパワーアップさせたかのような邪悪な存在に生まれ変わったのです。

モグワイのグレムリンへの変化が象徴するもの

ここではモグワイがグレムリンへ変化することにどういう寓話的な意味があるのか、またグレムリンはなにを象徴しているのかを見ていきます。

モグワイからグレムリンへ変化する意味

モグワイからグレムリンへの変化は、善良な普通の人間でも欲望のままに生きると醜悪な人間になってしまう、ということを暗示した寓話です。

この変化は、普通の人間がギャンブルや危険な投資話にのめり込むと周囲を省みない別人になる、というような変化を体現しています。

人間は強欲になると、醜悪な存在に変わってしまうのです。

グレムリンへの変化が象徴するのは強欲な人間

BiblioArt Series P.ブリューゲル(父)「7つの大罪<貪欲>」 額装品

変態したグレムリンが象徴するのは強欲な人間です。

とてもわかりやすい意地悪ばあさんのディーグル夫人をはじめとした強欲な人間を、グレムリンは象徴しています。

ディーグル夫人は金のことしか考えない人間で、街の大地主。

飼い猫達にはドル・マルクなどの各国通貨の名前をつけ、貧しい家庭からも平気で搾取しようとするような人間です。

ドラゴンの顔にディーグル夫人が描かれた絵を、主人公のビリーが漫画で描いています。

ですがドラゴンとは強大な力で貪欲に財宝を溜め込み、守ろうとするヨーロッパ貴族を風刺した存在です。

ビリーが描く絵は『ディーグル夫人=強欲な人間』ということを上手く表現しています。

ディーグル夫人はまさにグレムリンを象徴する強欲な人間なのです。

欲望のなれの果てに残るもの

欲望のままに生きるグレムリンがもたらすものとはなんなのでしょうか?強欲なグレムリンの行く末を見てみます。

欲望の果てに残るものは『無』

中国の伝説上にトンという妖怪がいます。

異常に巨大で欲深く、何でも食べる妖怪で、鉄や星、宇宙をも食らい、最終的には自分自身の体まで食べ尽くし、後には無だけを残します。

『無』これこそが欲望のなれの果てです。

グレムリンが残したもの

Gremlins Stripe Give Yum Yum 324 MLコーヒーマグ

グレムリンもトンと同じです。

自分の好き勝手に振る舞い欲望のままに突っ走ります。

街を荒らし回ったグレムリン達はさんざん楽しんだ挙句、最後はビリー達に退治されます。

一匹だけしぶとく生き残ったストライプも太陽光を浴びせられて消滅します。

グレムリンの犠牲者としてTVで発表されたのはただ1人、欲望の権化ディーグル夫人でした。

この欲深い老婆を道連れとしてグレムリンは消滅し、後には無残な惨劇の爪痕だけを残したのです。

なにも残らない欲望のなれの果てが上手く表現されているといえるでしょう。

グレムリンは日本人?

当時の世相からグレムリンを見てみましょう。

1980年代は日米貿易摩擦の時代

本作が上映された1984年は日米経済摩擦が問題になっていた時期で、ちょうどバブル直前の時代でもありました。

当時の日本人は好景気に浮かれて、海外に出かけては非常識な行動を取ることが問題となっていました。

その身勝手な振舞いをしてきた日本人のメタファーとして本作が執筆されたという話もあります。

レムリン達が街を闊歩して歩く姿は、さながら当時海外を思うがままに闊歩していた日本人の姿のようです。

歴史は繰り返す?米中貿易戦争

米中貿易戦争で日本は果実を得る 単行本(ソフトカバー) – 2018/10/19

では現代はどうなのでしょうか。ちょうど米中貿易戦争と呼ばれている経済摩擦が生じている昨今、本作から学ぶことはあるかもしれません。

かつての日本人と同じように、強欲なグレムリンとなっている人々はいろいろなところにいます。

自国の利益しか考えないビジネスマンのような政治家、集団で他国へ出かけて街を我が物顔で闊歩する人々などは、本作から学ぶべきことがあるかもしれません。

ギズモとの別れが意味しているもの

ここではギズモとの別れがなにを物語っているのかに迫ってみます。

現代人にギズモは飼えない

グレムリン 数量限定スチールブック デザイン特別仕様 [リージョンフリー 日本語字幕・吹替収録](輸入版)

あんたらのやり方はいつもそう。自然の摂理を踏みにじってでも喜びを得ようとする。モグワイの育て方も同じ。なんにも分かっとらん。人間は愚かだよ。

引用:グレムリン/配給会社:ワーナー・ブラザース

モグワイとの別れのシーンでモグワイの元の飼い主ミスター・ウィングが、ビリー一家に投げかけた言葉です。

この別れの言葉でわかること、それは欲望のままに生きる現代人は身を滅ぼす。そんな現代人にモグワイは飼えないということでしょう。

ビリー達は3つの約束を軽視していました。

誤ってモグワイに水をかけてしまい増殖しても、なんら反省せず、父ランダルに至っては売り飛ばすことを考え出す始末です。

スポイトでモグワイに水を垂らして増殖実験するあたり、ビリーが約束を軽視していたことを物語っています。

ビリーはごく普通の若者で、現代人を象徴した存在です。利己的で約束も守れない個人主義の現代人には、純粋なモグワイは飼えないということでしょう。

心に潜むグレムリンを見つめる

君にもいつか飼える時がくる。その時をモグワイは待っとるよ。

引用:グレムリン/配給会社:ワーナー・ブラザース

このミスター・ウィングの言葉通り、現代人がモグワイを飼える日はくるのでしょうか?

あなたの心にも醜悪なグレムリンは潜んでいるかもしれません。

心のどこかにグレムリンが潜んでいないかどうか、それを常に見極めながら生きるということが大切なのです。

それができれば現代人にもギズモを飼える日がくるかもしれません。

現代によみがえるグレムリン

グレムリン プルバックトイ/ギズモ&ストライプセット

2020年にローンチ予定のワーナーの新しいストリーミングサービスで、グレムリンの前日譚アニメが放映されます。

このアニメは、1920年代の上海を舞台として、後々骨董店の店主になる当時10歳のサム・ウィングがギズモに出会うまでを描きます。

サム・ウィングは本作でギズモと一緒にさまざまな冒険へでることになるようです。

第1作の公開から35年が過ぎた現代でも、やはりグレムリンの掲げるテーマは色あせていないということでしょう。

グレムリンを見たという方は、グレムリン2、近々放映される前日譚アニメもぜひお楽しみください。