もう一度野球に情熱を燃やすことを誓った赤鬼に、天国からゴルゴがプレゼントとしてこの新人を送り込んだとも考えられます。
「あの時の情熱を思い出せ」というゴルゴの想いが込められていたのかもしれません。
赤鬼の意思の現れ
西校での監督ぶりは、城南工業高校の時とは比較にならないほど気力を欠いていました。
以前の赤鬼を知っていて、その熱血指導を受けたいと思って入部した生徒もいるのです。
ですが気力を失った赤鬼が、そんな部員達のやる気を感じ取っていたとは思えません。
赤鬼が西校に転任になってからもゴルゴのように自信満々の生徒が入部していたはずで、ラストの新人も例外ではないでしょう。
つまりゴルゴの死後にたまたまゴルゴのような新人が入ってきたのではありません。
赤鬼が真剣に野球と向き合ったことで「ゴルゴみたいだ」と気づくことができたと解釈できるのです。
ゴルゴのバントサインを忠実に守ったことが、このラストシーンに描かれたのではないでしょうか。
ゴルゴの成長物語
高校時代は監督の指導に反抗していたゴルゴ。彼の挫折と成長を考察します。
ゴルゴの挫折
最も分かりやすい挫折をしたのはゴルゴではないでしょうか。
ライバルとの争いを嫌い、野球の道から逸れてしまった彼は幸せな家庭を築いたものの、最後には野球を求めていました。
監督の指導から逃げたことは後悔となって、大人になっても忘れることができなかったと考えられます。
ゴルゴの成長
彼は我が子を育てる中で、赤鬼が自分に厳しく指導してくれたのが愛情だったことに気がついたのかもしれません。
人を育てるには優しさだけでは不十分なのです。大人になったからこそ理解できた赤鬼の指導。
そして赤鬼が気力を欠いた理由が自分にあるのだと悟ったはずです。
だからこそバントのサインで赤鬼にエールを送ることを思いついたのでしょう。
小渕の成長物語
高校野球の思い出を舞台として描いた映画では、生徒の成長を描いたものがポピュラーだと思います。
しかし本作では生徒の成長もさることながら監督の成長に焦点を当てているようです。
彼はどんな挫折をし、どのような成長を見せてくれたのでしょうか。
小渕の挫折
城南工業高校時代は部員を叩き上げで育ててきましたが、その指導方法はゴルゴを挫折に追い込みました。
ゴルゴに期待を寄せていただけに、この結果は小渕を赤鬼から気の抜けた監督へ変化させる原因になったと考えられます。
1人の選手を潰した自分の教育に疑問を持たざるを得なかったはずです。