淡い恋心の絆・終盤で最も深く描かれるオンラインでの絆という様々な絆が描かれています。
淡い恋心
恋人のフリをするバイトを引き受けた健二。しかし夏希の心は侘助に向っていました。
もし何事もなくこのバイトが終了していたら、健二と夏希は相変わらず先輩後輩の関係のままだったでしょう。
しかし栄おばあちゃんとの約束、そしてその死によって健二と夏希の絆は深まったのです。
オンラインでの絆
これは現実世界での絆とネット世界での絆とを同時に描いた作品といえます。
現代社会においては現実世界での絆は切れないもの。
その一方、ネット世界での絆はブロックするだけで簡単に切れるという認識をしている方がほとんどでしょう。
しかし映画の中では何の繋がりもない人達が自らのアカウントを提供してくれるというシーンがありました。
そのオンラインでの絆が世界を救ったのです。
栄おばあちゃんの死で結束を深めた陣内家の活躍がネット世界でも人々の心を動かしたといえるでしょう。
死のもたらした影響
家族の中心人物である栄おばあちゃんの死がもたらした影響について、こちらも徹底的に解説していきます。
侘助の協力
侘助も加わってラブマシーンと戦うことで、彼の開発した最先端コンピュータを使えることになります。
侘助の協力と頭脳、そして彼の頭脳の集大成であるコンピュータを使えるようになったこと。
その結果ラブマシーンを追い詰めることが可能になりました。
彼がいなければ危機を回避できなかったでしょう。そして彼の協力は栄おばあちゃんの死なしでは叶わなかったのです。
みんなの成長
もし栄おばあちゃんが死んでおらず、そして遺言もなかったら佳主真も夏希もここまで戦わなかったでしょう。
佳主真と夏希だけではありません。
侘助や健二といった栄おばあちゃんと関わる時間が短かった人物も影響を受けています。
栄おばあちゃんは彼らにも自らの生き様と遺言で人間としての生き方を説き、成長を促しているのです。
こうして考えていくと、栄おばあちゃんという一人の人物の死だけで物語に様々な影響を与えていることが分かります。
終わりに
以上では細田守監督が初めて人の死を扱った理由とその死の与えた影響について解説してきました。
ですが厳密にいうならば細田守監督は初めて人の死を扱わざるをえなくて、その死は物語に不可欠でした。
考えれば考えるほどに人の死が作品に影響を与えていることが分かります。
サマーウォーズというアニメーション映画が称賛されているのも納得です。
この作品を通じて細田監督が私達に伝えたかった事とは何だったのでしょうか。