出典元: https://www.amazon.co.jp/dp/B0779NFT36/?tag=cinema-notes-22
デヴィッド・ボウイの息子ダンカン・ジョーンズ監督が低予算で作ったことで話題となった作品「月に囚われた男」。
宇宙空間で3年間孤独に働く飛行士、サムを主人公とした近未来のSF映画です。
地球への帰還を目前に、採掘途中で事故に遭います。基地で目を覚ましたサムは、存在するはずのないもう1人の自分を見つけてしまって…。
今回は、幻覚に現れた黒髪の女性の正体・クローンに感情まで移植した真意・サムの心情の考察です。
複数の「サム」が登場するので、人間のサムを“オリジナルのサム”。
2週間で任務が終わるサムを“旧サム”、新たに発動されたサムを“新サム”として解説していきます。
幻覚に現れた黒髪の女性の正体
マシューが撒き散らす砂塵の中に現れた黒髪の女性。月にはサムしかいないはずなので、幻覚なのは間違いありません。
彼女の正体は一体何だったのでしょうか。
妻のテス
クローンにはオリジナルのサムの情報しか入っていません。そして月で生まれて月で死ぬのですから、新しく得る情報など無いでしょう。
そうなると女性=テスであることは確実です。
なぜ幻覚が見えたのか
何体もクローンを複製していると、何かしらの欠陥が生まれる可能性があります。
初期の個体より後に作られた個体の方が精度も落ちるでしょう。
しかも生まれたてのクローンは元気でも、任務期間も残るところ2週間となった旧サムの機能はかなり低下していたようです。
となると今まで正常に機能していた記憶再生能力に異常をきたしたとも考えられます。
他の記憶データが視界に映り込み、それが幻覚として見えたのではないでしょうか。
旧サムが死にかけていることを観る人に知らせるシーンだといえます。
クローンに感情まで移植した真意
もしクローンのサム達に感情が無かったら、2人が交流することもなかったはずです。
月での作業は単純なものばかりなのですから、感情なんて不要だったように見えます。
なぜルナ産業はクローンに感情を移植したのでしょうか。
オリジナルのサムの要望
オリジナルのサムは自分がクローンの基になることについてどう思っていたのでしょうか。
外見が自分そのものなのですから、クローンがただロボットのように働かされることに不快を感じたのかもしれません。
だからせめて感情も移植して欲しいという要望をしたとも考えられます。
家族愛が支え
クローンの寿命が尽きる頃、身体がボロボロになります。それでも3年間みっちり働かせるには気力が必要になるのかもしれません。
気力は感情が無ければ捻出できないのですから、感情を移植する手段を選んだと推測できます。