出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B083WPW8JC/?tag=cinema-notes-22
映画「ヴィクトリア(Victoria)」は2015年にドイツで製作されたクライム・スリラー映画です。
監督はゼバスチャン・シッパー、主演にはライア・コスタを据えて作られています。
この作品最大の特徴は兎に角140分全編ワンカットの長回し撮影であるということです。
台本も最低限しか用意せず、後は俳優達が現場の空気や想像などで埋めて作っています。
予告編もそれを前面に押し出した構成となっており、レビューも凄く高評価です。
その結果以下の賞を受賞しています。
受賞歴
2015年ドイツ映画賞作品賞、監督賞、主演女優賞、主演男優賞、撮影賞、作曲賞引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/ヴィクトリア_(2015年の映画)
本稿ではラストの結末で示されたヴィクトリアの行く先を徹底考察していきます。
また彼女が初対面の4人に安らぎを感じた理由、ゾンネに惹かれた理由なども見ていきましょう。
サスペンスよりもヒューマンドラマ
本作はベルリンへ引っ越してきた若いスペイン人女性が4人の元犯罪者と絡むお話です。
故に分類はサスペンス・スリラーとなっていますが本質は寧ろヒューマンドラマでありましょう。
本作はヴィクトリアが自分自身と向き合うドラマを描いているからです。
4人の元犯罪者と協力してピンチを切り抜けていく中で彼女の生い立ちが明らかになります。
そしてそれが本作のラストを考察していく上での大事な鍵となるのです。
ヴィクトリアの行く先
本作のラストでヴィクトリアはホテルで死にゆくゾンネを部屋に残し、一人去って行きます。
彼女の行き先は果たしてどこになるのでしょうか?ネタバレ含めてじっくり考察していきましょう。
スペインへの帰国
物語からストレートに解釈するのであれば故郷・スペインへ帰国したという結末です。
ヴィクトリアは元々音楽院でピアノの一筋での人生で、自身の才能に限界を感じてドイツへ来ました。
しかし、セカンドライフを始めようにも言語の壁や人種の壁など様々な壁が彼女に襲いかかってきたのです。
そこでゾンネに披露したピアノの才能を褒められ、見失っていたものを取り戻したのではないでしょうか。
ゾンネの言葉で自分の才能をまた肯定的に見直すことが出来、故郷へ戻ったという説が考えられます。
人助けに投資
二つ目の可能性として、大金を裏で人助けに投資するという道が考えられます。
ゾンネと二人で結託してとはいえ、ヴィクトリアはやると決めたらとことんやり抜く女性です。
決して女性であることを捨てていませんが、でも自主性をもって適切な判断力で行動しています。
メンタルタフネスが十分にある彼女は音楽の道以外だとこういった裏の仕事も出来そうです。
一時的とはいえ4人の仲間達と死地を切り抜けた経験は彼女に新しい可能性を気付かせたことでしょう。
警察へ自首
最悪の可能性として、大金を警察に預けて自首という道も考えられます。
というのも袋に入った大量の6万ユーロは銀行強盗という形で得た不正金だからです。
現在の日本円にすると約690万円、そんな大金を一人持っていれば普通の人なら発狂しかねません。
ましてヴィクトリアは生真面目ですから、そのような端金を得て平気で居られないでしょう。