不思議なのはどうして本作に出てくるウィルソン一家が全員黒人であるのか?ということです。

これは黒人優遇政策、即ちアファーマティブ・アクションの問題点の潜在意識の表象でありましょう。

1964年に黒人差別が撤廃され一見平等なアメリカですが、黒人間の経済格差までは解決されていません。

寧ろ裕福な黒人と貧乏な黒人に二極化しており、逆差別になってしまってすらいるのです。

本作のドッペルゲンガーは正にその黒人逆差別によってより苦しまざるを得なくなった黒人でしょう。

単純な黒人差別という問題に留まらないもっと奥深い歪さがウィルソン一家を通して表現されています。

Us=United States

タイトルの「アス(Us)」はよくよく見ると「US=United States」とも読み替えが可能です。

それをレッドが非常に分かりやすく代弁しています。

私たちはアメリカ人

引用:アス/配給会社:東宝東和

そう、地上や地下、本物とクローン関係なく全員「アメリカ人」なのです。

そして、レッドは棒人間が手を繋いで共に仲良くしていく絵を黒板にラストカットに描きました。

クローン達も表現方法が過激なだけで、奥底では手を取り合って平和に暮したいのです。

不平等が当たり前の世界でそれでも尚平等を願わずにいられないいじらしさが感じられます。

そこがレッド達クローンを単なる得体の知れない悪に留めていない所以ではないでしょうか。

ミラーハウス

鏡の世界~石の肉体

さて、本作においてはミラーハウス、即ち「鏡」が象徴的に用いられています。

同時にアデレードがレッドと入れ替わった大きな原因ともなりました。

果たして迷い込んだ者達はどうなるのでしょうか?

生きるか死ぬか

死ぬことと生きること

ミラーハウスという世界は地上と地下の境界線でありながら、同時に「生と死」の境界線でもあります。

幼き頃のレッドとアデレードの結末の対比が全てを示しているといえるでしょう。

ラストでは入れ替わった地下世界のレッドがアデレードとして生き残り、本物のアデレードは殺されました。

正に生きるか死ぬか、もう二つに一つという究極の二者択一が迷い込んだ者達に襲いかかるのです。

母への見る目が変わったジェイソン

もう一人、ミラーハウスという恐怖の世界へ連れ去られた人がいました。

そう、ジェイソンです。彼は自分のドッペルゲンガー・プルートーから母を守ろうとして消えました。

そして母が実は入れ替わったレッドそのものだと知り、母への見る目が最後変わってしまったのです。

つまり境界線を超えて知ってはいけないタブーに踏み込んでしまい、元には戻れなくなりました。

ジェイソンも恐らくはこの世界に図らずも足を踏み入れてしまった以上無事ではいられないでしょう。

落ちたら簡単には戻れない

この道、一方通行 (始まりの本)

そして何より象徴的なのは地上から地下へ延びている一方通行のエスカレーターです。

地下に住むクローン・テザード達はそう簡単に地下から地上へと行けません。

つまり地上の人間が一度迷い込み入ったら簡単には戻れない構造となっています。

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