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エドワード・ニューゲート(演:ジム・スタージェス)がストーンハースト精神病院に潜入し、どんでん返しが続く『アサイラム』。
さすが推理小説の巨匠エドガー・アラン・ポーの原作を元にしているだけに、1度観ただけで完全理解をすることが難しい映画です。
映画では2人のエドワードが出てきます。それぞれのエドワードは、どういった理由で精神科の病院を訪れたのでしょうか。
1人目のエドワードは、ミッキー・フィン(演:デヴィット・シューリス)に連れられ、医師で院長でもあるラムに事情を説明します。
しかしそれは全くの嘘で、違う目的があったようです。
さらにそのラムにも秘密があり、とくに少年兵の写真のくだりは多くが語られないため、ラムと少年兵の関係に疑問が生じます。
今回は2人のエドワードが病院に来た目的と、ラムと少年兵との関係についてネタバレ含め、考察してみましょう。
主人公エドワード(偽)の目的
まず2人いるエドワードを、主人公エドワード(偽)と、後に病院にやってくるエドワード(本物)とします。
エドワード(偽)が病院を訪れたのは、研修医になるためということでしたが、実はもっと他の感情があるようです。
イライザを助ける
地下室に入れられている本当の院長ベンジャミン・ソルト(演:マイケル・ケイン)など、病院の秘密を知ったエドワード。
その後患者による支配を解くため、病院にいる患者たちに毒入りの飲み物を渡そうとし、失敗しました。
その場面でのセリフに、この精神科の病院に来た目的が語れます。
大学の講義で君を見た。あの講義を学生として見ていたんだ。君を助けたいと思った。そしてここに来た。
引用:アサイラム 監禁病棟と顔のない患者たち/配給会社:ミレニアム・フィルムズ
このセリフから、エドワードはイライザ(演:ケイト・ベッキンセイル)に会うために来たことが分かります。
つまり大学の講義で見世物のように扱われるイライザに対して、正義感が湧き、助けたいという思いを抱いたのです。
またエドワード(偽)の本当の正体は、他の精神病院から抜け出した患者。イライザを見て、同じ境遇の人だと思ったのでしょう。
つまり同じ境遇のイライザを助けようとし、病院を訪ねたのです。
助けるだけではない
エドワード(偽)は、ただの正義感からイライザを救おうとしたのではありません。
イライザに対して恋心を抱いていたのです。
映画ラストでは、エドワード(本物)とイライザの夫が、病院にイライザを連れ戻すためやってきます。
その時すでにエドワード(偽)はイライザを連れ出しており、二人で別の精神病院で幸せそうにしていました。
このことから分かるのは、エドワードは大学でイライザを見たときから、イライザに対して恋心を抱いていたということ。
「この人を救いたい」のは、「この人を自分の意中としたい」という思いからであり、エドワードはそのために病院を訪れるのです。
見たものだけを半分信じる
実は映画冒頭で、エドワード(偽)の目的を考えるためのヒントが出現しています。それは大学の講義での場面。
聞いたことは信じるな。見たことだけは半分信じろ
引用:アサイラム 監禁病棟と顔のない患者/配給会社:ミレニアム・フィルムズ
イライザに対する説明とされるこのセリフですが、実はエドワード(偽)の行動にも向けられた言葉だったのです。
エドワードは自らを医者と語り、研修のために来たと語ります。これは信じてはいけないのです。
信じるべきはエドワードが「イライザの写真が貼られた懐中時計」を持っていたこと。これがエドワードの信じられる部分です。
この懐中時計は「見える」ことからも、夫やラム院長からの暴力を受けてきたイライザを助けるために、病院へ来たことが分かります。
しかし、それではエドワード(偽)の見える部分を「すべて」を信じることにつながるのでは?と疑問に思う人もいるでしょう。
その通りで、「半分」だけ信じなければいけないのです。
エドワード(偽)のもう一つの目的
見たものの「半分」が、エドワードのイライザに対する気持ちです。ではもう半分は何なのでしょうか。